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Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
『いつ‥?誰‥?』

そんな相手がマイコにいたなんて聞かされていない。

「みちるの知らないひと。美大を出てすぐに知り合ったの。恋愛なんて呼べる関係じゃなかった。
難しいひとでね。
人間すべてを拒絶してた。他人も。自分自身すらも。
―でも、気が付いた時には彼に惹かれていた。私も、嫌われてはいなかったと思う。
だけど彼は死を選んだ。‥彼のことなんか好きではなかったとも、やっぱり好きだったとも思う。
死んじゃったから、確かめようがないの。
だけど、私は彼のことを愛していたんじゃないかって感じる瞬間がある。
……そんな時、目の前が真っ暗になる。
どこにも気持ちを持って行く場所がないの。
―愛されたかったわけじゃない。
ただ、私が彼を大切に想う気持ちは受け入れて欲しかった。
彼は他者の存在を拒絶していたけれど、私のことは受け入れて欲しかった……。
今はもう、声を聴くことすらも叶わない。
どんなに願っても」

マイコは笑っていた。
いつの間に、マイコは愛を知って、喪ったのだろう。
愛するひとへ永久の別れを告げていたのだろう。

「―生きている間の別れはね、別れとは呼ばないよ。何が起こるかわからないじゃない?
みちるは葵君と離れて爽介君を選んだ。
今現在はね。でも、この先はわからない。
出逢いと別れの繰り返し。
《終わらない輪廻》よ。
生きている間は、誰も逃れられない。
何度も何度も何度でも。
それって相当面倒くさい。
そしてとってもすてきなことよ」

『私‥私もね、マイコに話してないことがある』

唇が震えた。

『私ね、本当はあの街から逃げ出してきたの。いっしょに暮らしていた恋人を酷く傷付けて‥償えないことに気付いて怖くなって逃げたの……』

帰郷し、外の世界を避け、お酒に溺れた。
何も考えたくなかったからひたすらに眠った。
都会での生活が肌に合わなかったのだとマイコには言葉を濁していたが、時折本音を洩らした。
途切れ途切れに恋人と暮らしていたことを打ち明け、“死にたい”と洩らした。
マイコの前で、一番口にしてはいけない言葉を吐いてしまった―

「―みちるは他人を傷付けたことが怖かったんじゃない。
…《愛すること》から逃げたんじゃないの?」
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