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Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
―夢から醒めたくない。
踏み込んじゃいけない。
あなたの愛が欲しい。
そんな歌詞の、叶わぬ恋のバラードを唄った。
唄い終えると、あたりがしんと静まりかえっていた。
盛り下げたのかと慌てると、“気持ちがこもっていた”と、男の子たちに持てはやされる。
「―辛い恋が始まったのか?」
試すような目付きで真央が嘲笑う。
その表情がどこか爽介に似ていて…居心地が悪い。
視線を反らすと、葵が暗い眼差しで私を見つめていた。
*****
当たり障りのない曲を男の子たちと唄う。
葵は変わらず、ビールとピスタチオを離さない。
『あれっ?マイコは?真央ちゃんは?』
気が付けば、女王様と末っ子の姿が消えている。
29歳は女盛り‥マイコは真央の射程圏内だったのか?
どよめく男の子たち。
「安田を捕まえろ!」
それぞれスマホをわなわなと握り締めている。
‥駿足たる末っ子を捕まえるのは至難の技だろう。
「‥放っときなよ。他人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られちゃうよ?」
葵が表情を歪める。
「じゃあお前、女呼べよ。早織ちゃんに友達連れて来てって電話しろよ」
男の子たちに煽られ、ため息をついて葵が立ち上がり、部屋を出た。
「みちるさん、家はこの近く?」
「マイコさんと同い年って本当?童顔だよね」
「みちるさん酒呑める?何か頼もうか?」
「コケシが好きなの?」
4人に囲まれ、アワワとなる私。どうしよう。どうしよう。
勧められるままにビールをぐびぐび呑む。
―大きな手のひらにジョッキを奪われた。
「呑むな。手間が掛かる」
葵が冷たい眼差しで見下ろしていた。
震え上がる私。
いったいこのひと、誰ですか?
ビールを一気呑みする葵。
「なんで邪魔すんだよ。どうしたよ、目黒。いつも以上に今日は変だぞ」
『葵は変じゃないよ!イイコだよ!!』
「えっ?何?みちるさん、目黒と知り合い?」
不思議そうにする男の子たち。
葵が舌打ちした。
「‥ってぇ!何、今の?!静電気?!」
男の子たちが身を退け反らせる。
「‥この部屋は悪霊に支配されています。
諸悪の根源はこのひとです。‥このひと、顔はトボけてるけどニンフォマニアだから。
油断すると骨抜きにされるよ」
葵にがっしりと首根っこを掴まれ、引き摺られる私。
踏み込んじゃいけない。
あなたの愛が欲しい。
そんな歌詞の、叶わぬ恋のバラードを唄った。
唄い終えると、あたりがしんと静まりかえっていた。
盛り下げたのかと慌てると、“気持ちがこもっていた”と、男の子たちに持てはやされる。
「―辛い恋が始まったのか?」
試すような目付きで真央が嘲笑う。
その表情がどこか爽介に似ていて…居心地が悪い。
視線を反らすと、葵が暗い眼差しで私を見つめていた。
*****
当たり障りのない曲を男の子たちと唄う。
葵は変わらず、ビールとピスタチオを離さない。
『あれっ?マイコは?真央ちゃんは?』
気が付けば、女王様と末っ子の姿が消えている。
29歳は女盛り‥マイコは真央の射程圏内だったのか?
どよめく男の子たち。
「安田を捕まえろ!」
それぞれスマホをわなわなと握り締めている。
‥駿足たる末っ子を捕まえるのは至難の技だろう。
「‥放っときなよ。他人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られちゃうよ?」
葵が表情を歪める。
「じゃあお前、女呼べよ。早織ちゃんに友達連れて来てって電話しろよ」
男の子たちに煽られ、ため息をついて葵が立ち上がり、部屋を出た。
「みちるさん、家はこの近く?」
「マイコさんと同い年って本当?童顔だよね」
「みちるさん酒呑める?何か頼もうか?」
「コケシが好きなの?」
4人に囲まれ、アワワとなる私。どうしよう。どうしよう。
勧められるままにビールをぐびぐび呑む。
―大きな手のひらにジョッキを奪われた。
「呑むな。手間が掛かる」
葵が冷たい眼差しで見下ろしていた。
震え上がる私。
いったいこのひと、誰ですか?
ビールを一気呑みする葵。
「なんで邪魔すんだよ。どうしたよ、目黒。いつも以上に今日は変だぞ」
『葵は変じゃないよ!イイコだよ!!』
「えっ?何?みちるさん、目黒と知り合い?」
不思議そうにする男の子たち。
葵が舌打ちした。
「‥ってぇ!何、今の?!静電気?!」
男の子たちが身を退け反らせる。
「‥この部屋は悪霊に支配されています。
諸悪の根源はこのひとです。‥このひと、顔はトボけてるけどニンフォマニアだから。
油断すると骨抜きにされるよ」
葵にがっしりと首根っこを掴まれ、引き摺られる私。