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第13章 【さよならの向こう側】
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『良いところだねぇ』

風光明媚な夏色の景色。
濃い緑色の山々。
南国のカラフルな花。
プライベートな空間が確保された5棟のヴィラ。
自然素材がふんだんに使用され、アジアンリゾートのような開放的な雰囲気。
近くを流れる川の他にも、各ヴィラにプールが付いている。
贅沢な造り!

「あの大きな建物の中にレストランやコンビニ、雑貨のお店が入ってるよ。
温泉やエステあるよ。あとでタダ券渡すね。
もちろん、部屋のお風呂にも温泉を引いています」

建築者の声にはしゃぐ乙女チーム。(+真央。)
孝介が2棟押さえてくれていた。
1棟がマイコと私、葵と早織ちゃん。
そしてもう1棟が安田三兄弟という部屋割りに決定した。
早織ちゃんを異常者の毒牙から守れそうで良かった。ホッ。

部屋に荷物を運び入れ、夕方のバーベキューまで自由行動になった。
“おっぱいを大きくしてきます!”と、早織ちゃんとマイコは温泉に出掛けていった。
タフだなぁ‥。

車に長く揺られたのが堪えたのか、飛ばし屋の運転が堪えたのか気分がすぐれない。
糊の効いたシーツの上に寝転がる。
生ぬるい風。高い天井に取り付けられたファンが催眠術のように眠りへと誘う。
気だるい真夏の昼下がり。

ゴトリ。
ドアの向こうから物音が聞こえ、微睡みから目覚める。

『マイコ?鍵開いてるよ?』

返事はない。
ドアを開けると、ドアノブにコンビニの袋が掛かっていた。
部屋のソファーに腰掛け、中身をあらためる。
サンドイッチとアイスティーのペットボトル。
ちゃんと私の好きなタマゴサラダと、ツナサンドだ。

『誰からの差し入れだろう‥?』

首を捻りながら、脚を投げ出してもそもそと咀嚼する。
コツコツと壁を叩くような音が聴こえる。

「起きてたか」

爽介がトレーを抱えて部屋に入る。

「ん?お前何食ってんだ?」

『サンドイッチ。誰かが差し入れてくれたみたい。マイコかな?』

「ふ~ん‥」

爽介がドアを見つめながら、トレーをソファーに置く。
タコスが2つ。ラッシーと輸入モノの瓶ビール。

「タコス食え。野菜を食え」

レタスやトマトを食べ、トルティーヤは爽介が食べてくれた。
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