この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
葵の下手な石投げを見かねて、私も小石を飛ばした。5回跳ねた。
「‥すごい!すごい!もう1回見せて!…」
葵がぽやと笑う。慌てたように、すぐに無表情になった。
私はまた、小石を投げた。
6回跳ねた。今度は喜ばなかった。
『‥なんで黒い服ばっかり着てるの?
葵は可愛い色の方が似合うよ』
「‥喪が明けてないから。四十九日が済んでない…」
葵が小石を投げる。
すぐにぽちゃんと沈む。
「―首、どうしたの。赤くなってる」
葵が無表情で自分の首を指す。
咄嗟に赤い痕を手のひらで隠す。
葵は黙って見つめている。
『…葵も孝ちゃんたちとナンパに行ったの?』
葵が私の顔を穴が開くほどじっと見つめた。
「‥した。入れ食い。オレね、女アソビするの。《ひと夏の経験》ってやつ…」
葵はおもむろに立ち上がり、小石を蹴って川に沈めた。
『早織ちゃんを大事にしてあげなよ。
いい子なんだから‥』
二の腕に虫除けスプレーが勢いよく吹き付けられた。
「‥余計なお世話。
オレは狂犬になりました。飼い主に捨てられちゃったんです…誰彼構わず噛み付きたい」
『葵!そんなこと言っちゃ‥ダメだよ…』
「‥いーっぱいいーっぱい女のひとを泣かせてやるの。100人斬りしてやる‥ぜーんぶ誰かさんのせい!いーだっ!」
歯を剥き出しにして、威嚇された。
葵が輪に戻って行く。
―早織ちゃんの横で、葵は天使のように微笑んでいた。
*****
暮れなずむ雄大な大地に抱かれて、のんびり夕食を楽しんだ。
水色の空がオレンジ、朱色に染まってゆく―
沈む太陽を惜しむ頃には、暑さも幾分和らぎ風が木の葉を揺らした。
ビーチチェアでうたた寝する爽介の横で、風の声に耳を傾ける。
ボシャン!と何かが飛び込む音が聴こえた。
「わー‥目黒君、やるぅ」
孝介が感嘆する声。
盛大な水しぶきを上げながら、葵が緩やかな川の流れに逆らってバタフライを魅せた。
洋服を着たまま、泳ぐ様が綺麗だった。
頭を丸めても、葵はやっぱりひとと違う。
見惚れた。
早織ちゃんも頬を染めて見つめている。
「俺も!俺も!ミーコ、見て!」
ビキニ姿の真央が、浮き輪を付けて川に飛び込んだ。
葵が巻き添えになり、怒った葵に真央は川底へと身体を沈められた。
「‥すごい!すごい!もう1回見せて!…」
葵がぽやと笑う。慌てたように、すぐに無表情になった。
私はまた、小石を投げた。
6回跳ねた。今度は喜ばなかった。
『‥なんで黒い服ばっかり着てるの?
葵は可愛い色の方が似合うよ』
「‥喪が明けてないから。四十九日が済んでない…」
葵が小石を投げる。
すぐにぽちゃんと沈む。
「―首、どうしたの。赤くなってる」
葵が無表情で自分の首を指す。
咄嗟に赤い痕を手のひらで隠す。
葵は黙って見つめている。
『…葵も孝ちゃんたちとナンパに行ったの?』
葵が私の顔を穴が開くほどじっと見つめた。
「‥した。入れ食い。オレね、女アソビするの。《ひと夏の経験》ってやつ…」
葵はおもむろに立ち上がり、小石を蹴って川に沈めた。
『早織ちゃんを大事にしてあげなよ。
いい子なんだから‥』
二の腕に虫除けスプレーが勢いよく吹き付けられた。
「‥余計なお世話。
オレは狂犬になりました。飼い主に捨てられちゃったんです…誰彼構わず噛み付きたい」
『葵!そんなこと言っちゃ‥ダメだよ…』
「‥いーっぱいいーっぱい女のひとを泣かせてやるの。100人斬りしてやる‥ぜーんぶ誰かさんのせい!いーだっ!」
歯を剥き出しにして、威嚇された。
葵が輪に戻って行く。
―早織ちゃんの横で、葵は天使のように微笑んでいた。
*****
暮れなずむ雄大な大地に抱かれて、のんびり夕食を楽しんだ。
水色の空がオレンジ、朱色に染まってゆく―
沈む太陽を惜しむ頃には、暑さも幾分和らぎ風が木の葉を揺らした。
ビーチチェアでうたた寝する爽介の横で、風の声に耳を傾ける。
ボシャン!と何かが飛び込む音が聴こえた。
「わー‥目黒君、やるぅ」
孝介が感嘆する声。
盛大な水しぶきを上げながら、葵が緩やかな川の流れに逆らってバタフライを魅せた。
洋服を着たまま、泳ぐ様が綺麗だった。
頭を丸めても、葵はやっぱりひとと違う。
見惚れた。
早織ちゃんも頬を染めて見つめている。
「俺も!俺も!ミーコ、見て!」
ビキニ姿の真央が、浮き輪を付けて川に飛び込んだ。
葵が巻き添えになり、怒った葵に真央は川底へと身体を沈められた。