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Re:again
第4章 【嘘の自白】
『いつも帰り道には他の幼なじみや、爽介の友達がいた。私の友達も‥
だけど本当に稀に、ふたりだけの時があって。
―爽介はいつもと違った。
ひと気のない場所に差し掛かると、手を繋いできた。
まぁ、腕を掴むようなちょっと乱暴な繋ぎ方なんだけどね。
それで、連行されるように無言で歩くの。
春の野道を―』
―お前、俺のこと好き?
昨夜の爽介の声が耳から離れない。
『私たちは“ただの幼なじみ”だった。憎まれ口も散々叩いたし、ケンカばかり。
とっくみ合いだってした。
爽介は私を殴りはしなかったけど、私は殴ったり蹴ったり。
爽介のことが大好きだったのに、女の子らしく接することが出来なかった。
けれどその日だけは‥』
「‥素直に答えたんだ?」
『そう。爽介が、真剣に尋ねてくるから。
“うん、好き。”って答える。
それで、ふたりでそのまま黙って帰る。手を繋いで―』
「中学生になっても訊かれたの?」
『そうなの。爽介はレスリング部。私は美術部。教室はいつも離れていたし、マンモス校で接点はなくなった。
爽介は中学生デビューしちゃってヤンキーだったし。
誰もが知るモテ男。かたや私はしみったれ』
くすっと笑ってマイコが私の手を優しく擦った。
マイコの笑い方が好き。
邪気がなくて、嘘のない‥安心出来る顔。
『年に一回、待ち伏せされてて。連行される。
そして、訊かれることは同じ。おかしいでしょう?
爽介には彼女がいるのに』
マイコに語りながら、くすくすと笑った。
『‥それでも、中1までは好きだと答えていたの。だってどうしようもなかった。
本当に好きだったから。爽介に受け入れてもらえなくても。
会えなくても』
―お前、俺のこと好き?
最後に尋ねられたあの日…
『我慢出来なくなったのは中2。
それまでに爽介の彼女は10人も変わった。
人づてに耳に入ってくるの。
同じ小学校だった子たちが報告してくれるから。私が爽介を好きなことは皆が知っていたから。
爽介は訊いた。
だから逆に訊き返したの。
“どうしてそんなこと、確認するの?”って―』
だけど本当に稀に、ふたりだけの時があって。
―爽介はいつもと違った。
ひと気のない場所に差し掛かると、手を繋いできた。
まぁ、腕を掴むようなちょっと乱暴な繋ぎ方なんだけどね。
それで、連行されるように無言で歩くの。
春の野道を―』
―お前、俺のこと好き?
昨夜の爽介の声が耳から離れない。
『私たちは“ただの幼なじみ”だった。憎まれ口も散々叩いたし、ケンカばかり。
とっくみ合いだってした。
爽介は私を殴りはしなかったけど、私は殴ったり蹴ったり。
爽介のことが大好きだったのに、女の子らしく接することが出来なかった。
けれどその日だけは‥』
「‥素直に答えたんだ?」
『そう。爽介が、真剣に尋ねてくるから。
“うん、好き。”って答える。
それで、ふたりでそのまま黙って帰る。手を繋いで―』
「中学生になっても訊かれたの?」
『そうなの。爽介はレスリング部。私は美術部。教室はいつも離れていたし、マンモス校で接点はなくなった。
爽介は中学生デビューしちゃってヤンキーだったし。
誰もが知るモテ男。かたや私はしみったれ』
くすっと笑ってマイコが私の手を優しく擦った。
マイコの笑い方が好き。
邪気がなくて、嘘のない‥安心出来る顔。
『年に一回、待ち伏せされてて。連行される。
そして、訊かれることは同じ。おかしいでしょう?
爽介には彼女がいるのに』
マイコに語りながら、くすくすと笑った。
『‥それでも、中1までは好きだと答えていたの。だってどうしようもなかった。
本当に好きだったから。爽介に受け入れてもらえなくても。
会えなくても』
―お前、俺のこと好き?
最後に尋ねられたあの日…
『我慢出来なくなったのは中2。
それまでに爽介の彼女は10人も変わった。
人づてに耳に入ってくるの。
同じ小学校だった子たちが報告してくれるから。私が爽介を好きなことは皆が知っていたから。
爽介は訊いた。
だから逆に訊き返したの。
“どうしてそんなこと、確認するの?”って―』