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Re:again
第4章 【嘘の自白】
『爽介は私の質問に答えなかった。
“質問しているのは俺だ。お前は俺を好きなのか”って。
だけど、私も食い下がらなかった。
そしたら、爽介は
“こんなこと、何の意味もない。ただの暇つぶし”って。
どこかで予想はしていたけど、実際に言われるとショックね。自分の気持が《何の意味もない》と言われることって―』
泣きたいような気もしたが、涙は出てこなかった。
代わりに諦めのような笑みがこぼれた。
これが大人になるということならば、大人になんてなりたくなかった。
重ねられたマイコの手のひらはすべすべしていて、マイコの柔らかな表情に慰められた。
彼女の瞳にきらりと光るものを見つけて、嬉しかった。
代わりに泣いてくれる誰かが、マイコがそばにいてくれることが無性に嬉しかった。
『ショックでショックで、酷いことをたくさん言った気がする。
それまでも激しいケンカはあったけど‥。
爽介の心を傷つけるために、少しでも傷口を深くえぐるために言葉を吐いたのは初めて』
「‥好きだったんだもんね」
『爽介が悪かったわけじゃない。
ただ単に、私が爽介を好きだっただけ。
そして爽介は私を好きではなかっただけ。
爽介は自分が好かれているのかを確かめたかっただけ。
何の意味もない、言葉遊びと同じ。今ならわかる。
でも、あの頃はそれがわからなかった。
“意味がない”と言われて、私が爽介を好きだった年月が嘘になった気がした。だから―』
マイコが私の髪の毛をひと掬い、耳に掛けた。
泣き笑いのような不安気な表情を浮かべたマイコと額を合わせ、微笑み合う。
ふいに高校の放課後を思い出した。
こんな風に、教室に残って喋っていたっけな‥。
ブレザー姿の、今よりも髪の毛の短いマイコ。
私を見放さないでいてくれたマイコ。
『最後の最後で嘘をついたの。
“大嫌い”って。それで、おしまい。
たまたま高校もいっしょだったけど。学科が違ったし。
卒業後は引越したし。こっちに帰っても実家はないしね。
逢うことなんてなかった。昨日までは‥』
“質問しているのは俺だ。お前は俺を好きなのか”って。
だけど、私も食い下がらなかった。
そしたら、爽介は
“こんなこと、何の意味もない。ただの暇つぶし”って。
どこかで予想はしていたけど、実際に言われるとショックね。自分の気持が《何の意味もない》と言われることって―』
泣きたいような気もしたが、涙は出てこなかった。
代わりに諦めのような笑みがこぼれた。
これが大人になるということならば、大人になんてなりたくなかった。
重ねられたマイコの手のひらはすべすべしていて、マイコの柔らかな表情に慰められた。
彼女の瞳にきらりと光るものを見つけて、嬉しかった。
代わりに泣いてくれる誰かが、マイコがそばにいてくれることが無性に嬉しかった。
『ショックでショックで、酷いことをたくさん言った気がする。
それまでも激しいケンカはあったけど‥。
爽介の心を傷つけるために、少しでも傷口を深くえぐるために言葉を吐いたのは初めて』
「‥好きだったんだもんね」
『爽介が悪かったわけじゃない。
ただ単に、私が爽介を好きだっただけ。
そして爽介は私を好きではなかっただけ。
爽介は自分が好かれているのかを確かめたかっただけ。
何の意味もない、言葉遊びと同じ。今ならわかる。
でも、あの頃はそれがわからなかった。
“意味がない”と言われて、私が爽介を好きだった年月が嘘になった気がした。だから―』
マイコが私の髪の毛をひと掬い、耳に掛けた。
泣き笑いのような不安気な表情を浮かべたマイコと額を合わせ、微笑み合う。
ふいに高校の放課後を思い出した。
こんな風に、教室に残って喋っていたっけな‥。
ブレザー姿の、今よりも髪の毛の短いマイコ。
私を見放さないでいてくれたマイコ。
『最後の最後で嘘をついたの。
“大嫌い”って。それで、おしまい。
たまたま高校もいっしょだったけど。学科が違ったし。
卒業後は引越したし。こっちに帰っても実家はないしね。
逢うことなんてなかった。昨日までは‥』