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Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
「―ドコにいるかと思ったら‥W浮気か?」

爽介が薄い笑みを浮かべ、調理スペースに足を踏み入れた。
ずんどう鍋の蓋に触れる。

「‥まだ煮込んでるトコロだからダメ。夕飯まで待って…」

葵にたしなめられ、爽介がスナック菓子の袋に手を入れる。

「お前の女が探してたぞ」

葵が一瞬、瞳を伏せた。

「お前も隅に置けねぇな。
自分の女ほっぽらかして、他人のモンに手を出すなんて」

爽介が笑いながら私の腰を抱く。その眼が冷たかった。
微笑んだまま、葵を睨み付けている。

葵は爽介から視線を外さなかった。
余裕の笑みで、私の左手を指でなぞった。

「‥ねぇ、スケコマシってどうしたらなれるの?
オレもね、そろそろ男の勲章が欲しいかなって…」

爽介が葵の手を払い除けた。

「他所を当たれよ。お前なら簡単に手に入るだろ?
コイツが誰かひとりを選んだら、他は手を引く。
お前が決めたコトだ。約束はちゃんと守れよ」

爽介が真顔で凄んだ。
肝が冷える。
一触即発の気配があった。

「‥手に入らないモノほど欲しくなる。
―もう1つの約束も忘れるな」

葵が無表情に言い放つ。
瞳が静かに燃えていた。

誰かひとを呼んだ方が良いのだろうか?
入口に視線を走らせる。
慌てる私を取り残し、ふたりが笑った。
状況を飲み込めず、混乱する。
葵が笑いながら爽介に問う。

「‥ソウスケ。好きの沸点が超えると、いったいどうなると思う?…」

*****

“プールに行こう”と爽介に誘われ、調理スペースを後にした。
葵を見ると、“火の番はオレがしとく”と、何事もなかったかのように柔らかく微笑んでいた。

強い力で爽介に部屋まで引き摺られた。

「お前―油断してんじゃねぇよ。アイツとふたりきりになるな」

苛立つ爽介にベッドに身体を倒された。

「見たか、あの眼。
お前が思ってるほど、アイツは優しいだけの男じゃねぇ」

―葵は優しいよ、爽介こそ葵のこと知らないじゃない。

思ったことを飲み込む。
どう考えても、この場で葵の肩を持つのは相応しくない。
間違っている。
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