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第13章 【さよならの向こう側】
*****

明日の昼には爽介が帰って来る。
それまでスケッチをして過ごそう。
絵を見せて、“イイコにしてたな”と爽介に褒めてもらおう。

朝露に濡れた植物の香りを胸いっぱいに吸い込む。
施設を離れ、山の麓を辿り、うっそうと樹々が生い茂る薄暗い小道を歩いた。

変わった形の葉っぱを拾い上げ、獣の足跡を追い掛ける。
小川のせせらぎを目で追いながら、大木に耳を当てた。
地中から水を吸い上げる音。
生命の息吹だなぁ‥。
枝を引き摺り、なだらかな丘を超えると、急に視界が開けた。

『おぉ~ッ』

畑、畑、畑……
遠くには高くそびえる山々。
何かが植えられた畑、草木が生い茂った畑‥畦道で小石を蹴りながら畑を観察する。
背の高い草の茂みから、黒くて大きな何かがカサカサと動いた。

『葵……?』

黒いTシャツ、黒いジャージ、麦わら帽子を被り首にタオルを巻いた葵が、草の中にうずくまっていた。

「…………」

視線がばっちり合う。
“シーッ”唇に人差し指を当て、葵が私に目配せをした。
目蓋を閉ざし、懸命に耳をすませていた。

次の瞬間、垂直に葵が跳んだ。
バキッ!メキッ!と大きな音を立ててそのまま派手に転ぶ葵。

「イテッ!」

葵は全身を強打し、草の上でもんどりうつ。

『だっ‥大丈夫?何してるの?』

「‥きゅ~きゅ~って声が聴こえたから、ツチノコかと思って。NASAに売り付けようかと思ったのに‥逃がしちゃった…」

ツチノコ‥鳴くんだ。

『起き上がれる?ツチノコ狩りしてたの?』

「‥ううん‥お散歩。綺麗なお花が咲いてたから‥みみちゃんにお土産にしようと思って‥あれ?お花、無くなっちゃった‥ツチノコが食べちゃったのかなぁ?…」

しょんぼりと草根を掻き分ける葵。

『どんなお花?いっしょに探してあげる』

「‥来ちゃダメ!…」

『どうして?まだツチノコがいるの?』

もしかして大量発生?

「‥そんなにたくさん露出して‥虫に刺されちゃうでしょ!もーッ。いちいち手が掛かるんだから…」

おろし立ての向日葵のワンピースを見つめる私。ノースリーブだけど、膝丈だよ‥?
葵がぷりぷりしながら虫除けスプレーを振りかけてくれる。

「‥お花は諦める。みみちゃんごめんね…」

『きっとわかってくれるよ。みみちゃんは元気?』
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