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第13章 【さよならの向こう側】
「みちる!危ないって!!」

遠くでマイコが叫ぶ声が聞こえる。
レストランを出て川辺まで走った。
私は脚が遅いはずなのに、誰も私のことを捕まえることが出来ない。
面白くて息が切れても脚を速めた。
おかしくて仕方がない。

朝方の大雨のせいで川は荒れ、川幅が広がっていた。
土砂を含んだ水が茶色く濁っている。
うねる濁流を、もっとよく見ようと身を乗り出す。
自分が今、どんな顔をしているのか見たかった。
―どんなに間抜けな顔をしているのだろう。

爽介が囁く愛の言葉を鵜呑みにし、甘やかされていた。
自分の気持ちばかり優先していたから、こんなことになるのだ。

何も知らない―
何も知らなかった、馬鹿な私。

「みちるさん!川に近付いちゃダメ!!」

早織ちゃんが私へと腕を伸ばす。
この子はいい子だ―
早織ちゃんが、羨ましくなった。
私も早織ちゃんと同じ歳になって、何もかもをやり直してみたい。

―馬鹿馬鹿しい。あり得ないことを考えている。
岩場から脚を踏み外し、身体が大きく傾いだ。

「みちるちゃん!!」

川に、落ちた気がする。
流れたような気がする。
けれど、気が付いたら葵の腕の中にいた。
私も葵もずぶ濡れで、川原にいた。
半分意識が朦朧とする中、葵が私に息を吹き込む。
気管から水がせり上がった。
えづきながら飲み込んだ水を吐き出した。
川から覚束ない足取りで、よろよろと早織ちゃんが上がってくるのが目に入った。
私が川に落ちた時、早織ちゃんもいっしょに落ちたのだと知った。
早織ちゃんに怪我がないか、それだけが気がかりだった。
うまく呂律が回らず喋ることが出来ない。

「‥喋らなくていい…」

私の頭に頬を寄せ、葵がうんと優しい声色で囁く。
どうしようもないことに、その声に安らぎを覚えた。
早織ちゃんが私たちの姿を目にして、凍り付いていた。

「目黒君、みーちゃんは僕が……」

私の身体を抱き上げようとした孝介を、葵が突き飛ばした。
孝介はよろけ、川原に倒れ込んだ。

「オレたちに構わないで!放っておいてよ!」

葵が他人に声を荒げ、突き飛ばすところを見るのは初めてのことだった。

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