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Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
*****
カチャリと鍵を掛ける音が聞こえた。
葵は私を抱き抱えたまま、私とマイコの部屋に入った。
私のドレスを脱がせ、スーツを脱ぐ。
お風呂場で軽く衣装を洗う。
そのままシャワーを浴びた。
葵に髪の毛と身体を洗ってもらう。
葵がシャワーを浴びる姿を、空の浴槽の中でぼんやりと眺めていた。
『ドレス‥どうしよう‥返さなくちゃいけないのに』
「‥保険を掛けてあるから大丈夫。
コウスケがうまく立ち回るよ…」
葵に大丈夫だと言われると、そんな気がしてくるから不思議だ。
『早織ちゃん大丈夫かな‥』
葵は返事をしない。
『部屋の鍵、開けとかないとマイコが入って来れないよ』
「‥入って来ないよ。大人なんだからマイコさんも察するでしょ…」
葵が私の身体を抱き上げ、バスタオルでくるんだ。
「‥‥わかってないの?オレたちの今の状況って決定的だと思わない?
もう言い逃れなんて出来ないよ‥」
*****
髪の毛も身体もろくに拭わず、ベッドの上にふたりで縺れ込んだ。
「―みちるちゃん、わざと川に飛び込んだんじゃない?」
葵が私の腰の上に跨がり、腕を押さえ付けた。
「何があった?
どうしてあんな馬鹿なことをした?」
葵が畳み掛ける。
怒っているのか、悲しんでいるのか‥本人も感情を持て余しているように見えた。
声は尖っているのに、私の身体に触れる手付きはどこまでも優しかった。
私がちゃんと、“この場所にいるかどうか”を確かめるように、葵の手のひらは動いた。
ひょっとすると、葵は怖がっているのかも知れない。
万が一の状態、例えば私があのまま溺れて助からなかったとして―
そんな状態を想像して、途方もなく怯えているのかも知れない。
『爽介‥帰って来ないかも知れない』
葵の言葉が頭の中でずっと、リピートしている。
―ソウスケがあなたと何かを天秤に架けた瞬間から、あなたは捨てられているんだよ。
「何それ‥ソウスケがココにいないことがそんなに寂しいの?あんなことをするまで?
自分が何をしたのかわかってる?」
『……………』
爽介に嘘をつかれていたのかも知れない。
はじめから、愛されてなんていなかったのかも知れない。
カチャリと鍵を掛ける音が聞こえた。
葵は私を抱き抱えたまま、私とマイコの部屋に入った。
私のドレスを脱がせ、スーツを脱ぐ。
お風呂場で軽く衣装を洗う。
そのままシャワーを浴びた。
葵に髪の毛と身体を洗ってもらう。
葵がシャワーを浴びる姿を、空の浴槽の中でぼんやりと眺めていた。
『ドレス‥どうしよう‥返さなくちゃいけないのに』
「‥保険を掛けてあるから大丈夫。
コウスケがうまく立ち回るよ…」
葵に大丈夫だと言われると、そんな気がしてくるから不思議だ。
『早織ちゃん大丈夫かな‥』
葵は返事をしない。
『部屋の鍵、開けとかないとマイコが入って来れないよ』
「‥入って来ないよ。大人なんだからマイコさんも察するでしょ…」
葵が私の身体を抱き上げ、バスタオルでくるんだ。
「‥‥わかってないの?オレたちの今の状況って決定的だと思わない?
もう言い逃れなんて出来ないよ‥」
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髪の毛も身体もろくに拭わず、ベッドの上にふたりで縺れ込んだ。
「―みちるちゃん、わざと川に飛び込んだんじゃない?」
葵が私の腰の上に跨がり、腕を押さえ付けた。
「何があった?
どうしてあんな馬鹿なことをした?」
葵が畳み掛ける。
怒っているのか、悲しんでいるのか‥本人も感情を持て余しているように見えた。
声は尖っているのに、私の身体に触れる手付きはどこまでも優しかった。
私がちゃんと、“この場所にいるかどうか”を確かめるように、葵の手のひらは動いた。
ひょっとすると、葵は怖がっているのかも知れない。
万が一の状態、例えば私があのまま溺れて助からなかったとして―
そんな状態を想像して、途方もなく怯えているのかも知れない。
『爽介‥帰って来ないかも知れない』
葵の言葉が頭の中でずっと、リピートしている。
―ソウスケがあなたと何かを天秤に架けた瞬間から、あなたは捨てられているんだよ。
「何それ‥ソウスケがココにいないことがそんなに寂しいの?あんなことをするまで?
自分が何をしたのかわかってる?」
『……………』
爽介に嘘をつかれていたのかも知れない。
はじめから、愛されてなんていなかったのかも知れない。