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Re:again
第13章 【さよならの向こう側】
「―あなたを喪う以外に、怖いことなんてない。
正しくなんかなくてイイ。間違っていてイイ。誰に何を思われても、何を言われても、オレの心は変わらない。
オレを捨てるなんて絶対に赦さない。
どこまでも付きまとってやる。
あなたがあの男に捨てられて、ボロボロになるのをずっと待ってる……そしたらオレがまた、そばにいてあげる。一生、そばにいてあげる……だから……」
葵が本当にそれを望むのなら、このまま誰かに私たちの姿を見られても良いような気がした。
私はどうせ、どのみち地獄に堕ちるのだ。
堕ちる地獄の数が多少増えたって何ともない。
ただ、優しい葵を地獄の道連れにすることだけが…やるせない。
「‥オレのそばから離れないで。
みちるちゃん…みちるちゃん…みちるちゃん…みちるちゃん…みちる――――」
*****
ひとの気配で目が覚めた。
カーテンは引かれたまま、外の景色は見えない。
孝介が物憂げな表情でベッドに腰掛けていた。
『孝ちゃん‥今、何時?』
白いボタンダウンのシャツに、チノパンを穿いた孝介が私に微笑み掛ける。
「お昼の3時。お腹は空いていませんか、お姫様」
孝介の声が沈んでいた。
首を横に振った。
『ドレス‥ごめんなさい。
昨日は、迷惑掛けてごめんなさい』
「心配しなくて良いよ。みーちゃんはいつだって手の掛かる女の子だから。慣れてる」
孝介は口元だけで笑みを浮かべるけれど、表情が疲れていた。
『爽介は…?』
孝介が目を細めて首を横に振る。
孝介の手のひらが私の髪の毛を撫でた。
「そんなに爽ちゃんばっかり恋しがらなくてイイんじゃない?
他にもイケメンが涌いてるでしょ?
例えば僕とか―
食事に行こうよ。美味しいパンケーキのお店に連れてってあげる。
それからエステに行っておいで。
もう少ししたら、ひょっこり帰って来るよ。
綺麗になって爽ちゃんをヒヤヒヤさせてやりなよ…」
孝介の声が弱い。
孝介の忠告は正しかった。
私は、爽介を選ぶべきではなかった。
『‥爽介は帰って来ないよ。
―奥さんに会いに行ったんでしょう?』
正しくなんかなくてイイ。間違っていてイイ。誰に何を思われても、何を言われても、オレの心は変わらない。
オレを捨てるなんて絶対に赦さない。
どこまでも付きまとってやる。
あなたがあの男に捨てられて、ボロボロになるのをずっと待ってる……そしたらオレがまた、そばにいてあげる。一生、そばにいてあげる……だから……」
葵が本当にそれを望むのなら、このまま誰かに私たちの姿を見られても良いような気がした。
私はどうせ、どのみち地獄に堕ちるのだ。
堕ちる地獄の数が多少増えたって何ともない。
ただ、優しい葵を地獄の道連れにすることだけが…やるせない。
「‥オレのそばから離れないで。
みちるちゃん…みちるちゃん…みちるちゃん…みちるちゃん…みちる――――」
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ひとの気配で目が覚めた。
カーテンは引かれたまま、外の景色は見えない。
孝介が物憂げな表情でベッドに腰掛けていた。
『孝ちゃん‥今、何時?』
白いボタンダウンのシャツに、チノパンを穿いた孝介が私に微笑み掛ける。
「お昼の3時。お腹は空いていませんか、お姫様」
孝介の声が沈んでいた。
首を横に振った。
『ドレス‥ごめんなさい。
昨日は、迷惑掛けてごめんなさい』
「心配しなくて良いよ。みーちゃんはいつだって手の掛かる女の子だから。慣れてる」
孝介は口元だけで笑みを浮かべるけれど、表情が疲れていた。
『爽介は…?』
孝介が目を細めて首を横に振る。
孝介の手のひらが私の髪の毛を撫でた。
「そんなに爽ちゃんばっかり恋しがらなくてイイんじゃない?
他にもイケメンが涌いてるでしょ?
例えば僕とか―
食事に行こうよ。美味しいパンケーキのお店に連れてってあげる。
それからエステに行っておいで。
もう少ししたら、ひょっこり帰って来るよ。
綺麗になって爽ちゃんをヒヤヒヤさせてやりなよ…」
孝介の声が弱い。
孝介の忠告は正しかった。
私は、爽介を選ぶべきではなかった。
『‥爽介は帰って来ないよ。
―奥さんに会いに行ったんでしょう?』