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第15章 【薔薇色の日々】
仕事柄か、テキパキと段取りが良いマイコ。
私ひとりではこのようにはいかない。

『捨てなきゃいけないって思ったんだけど…どうしても捨てきれなくて』

「そう」

マイコは食器を包んだ新聞紙を解き、キッチンへとお皿を運ぶ。
ジャージにエプロン、頭に三角巾姿で頼もしい。

『さっきね、そこで爽介たちに会った。
真央ちゃんの部屋に遊びに来たみたい』

「‥ちゃんと話すことが出来た?」

マイコが振り返り、心配そうな顔をする。

『うん。あのね……舵は自分でとれって言われた』

マイコが悪戯っこのような表情を浮かべ、小さく笑う。

「みちるさ、前に言ってたよね?
爽介君に新居の希望を訊かれた時、自分の部屋しか思い浮かばなかったって…」

ベッドの中での夢物語。
あの瞬間、私は爽介に恋をしていた―

『うん』

「それってね、“満たされていた”からじゃないかと私は思ったの」

『満たされていた?
あのボロアパートでの暮らしが?』

「ココだって、相当ボロいよ」

マイコが肩を揺すらせる。

「この部屋だってドコが気に入ったの?
前の部屋と雰囲気が似ているよ。
ソコが気に入ったんじゃないの?」

『……………』

目からウロコだった。
壁、ふすま、大きな窓に目を走らせる。
マイコの言う通りだ―

「―何もかもを諦める必要なんてない。
すべてを捨てる必要なんてない。
捨てようとしても捨てられずに手元に残ったモノだけが、“本物”だよ」

“あおいのおかしばこ”を抱える。
私が捨てられなかったモノ―
慌ててマイコに言い訳をしようとして、“あおいのおかしばこ”を落としてしまった。
元々古かった箱は変形し、底が抜けた。

『何これ…二重底…?……』

“あおいのおかしばこ”の秘密。
二重底の下には、お菓子や非常食よりももっと大切な―
“一番大事なモノ”が隠されていた。

「―ヤラれたね。どうやら葵君は二枚も三枚も上手だったね。
時限爆弾を仕掛けてたなんて……みちる。どうする?
こんな直球、アンタは捨てることが出来るの?」

マイコが泣き笑いのような表情を浮かべ、口笛を吹いた。
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