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第15章 【薔薇色の日々】
『思い出してないよ……』

「嘘だ!《誓約書》が無くなってたもん!」

まさか、葵が言葉通りに実行するなんて、思わなかったのだ。
ずっと私だけを見つめていることなど、不可能だと決めつけていた。
酔いも手伝い、葵が求めるままに《誓約書》にサインをした。
“葵君の【お願い事】を1つ叶えます。”と。

翌日、葵と動物園に出掛けた。
“二十歳の誕生日にはココでデートしよう。”と指切りした。

「一晩中帰って来なかったから…覚えていたのはオレだけかと思ったから…腹いせに置いて帰ったのに。
やっぱり気になってこの前見に行ったら無くなってたもん。
ノートに《ドM》って書いてあったもん。
あんな馬鹿なコト書くの、みちるちゃんしかいない‥‥」

テーブルの下に貼り付けられた“誰かの忘れ物”―
先日、私はそっと《誓約書》を回収していた。

『―忘れてなかったの。ずっと覚えてたよ』

葵が瞳を見開いた。

『こんな私でも、覚えていたよ』

二十歳になった葵が私のそばにいなくても、忘れてしまっていてもいいと思った。
ひたむきなその瞳を覚えていたかった。

「‥ズルいよ‥そんな素振り見せなかったじゃない」

葵の長い腕が絡みついてきた。
稲刈りをしていたせいか、葵の身体は汗臭かった。
いつもの石鹸の香りではなく、男の匂いがした。
汗にまみれた肌着に頬を寄せる。
かすかに、ひなたの匂いもした。

『葵より長く生きているから‥ズルくないと大人じゃない』

葵が舌打ちした。
抱き締める腕も何だか逞しく感じる―

『“あおいのおかしばこ”の秘密、気付いたよ』

葵の身体がギクリと動いた。

『葵って‥情熱的なんだね。知らなかったよ』

どうしたことか、笑いが止められなくなってしまった。
葵の腕の中でひとしきり笑った。
―頭上からため息が聞こえる。

「‥あなたがオレのことを見てくれたら、見せようと思ってた。
あなたがちゃんとオレと向き合ってくれる時が訪れたら―」

『訪れなかったらどうするつもりだったの?』

「‥いつまでも待ったよ。あなたが目を醒ましてオレを見てくれるその時まで」

葵が深呼吸する。

「‥いい加減、諦めてくれない?
あなたはオレから逃れられないよ」
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