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第15章 【薔薇色の日々】
「アメリカ留学ぅ??」

葵の声が裏返った。

「なぁにソレ…今度はドコから入手した情報?」

『店長が言ってたよ!』

葵が頭を抱えた。

「違う‥休学はみちるちゃんを追い掛けていこうと思って…ソウスケに連れて行かれそうだったから。
みちるちゃんに取り付けたGPS、3km圏内しか受信出来ないから…離れたらストーキング行為が出来ないもん。
アメリカは農業研修の話だよ。断ったよ。
ソレどころじゃなかったから」

『私、GPS取り付けられてたの?!』

「そうだよ?今日だってちゃんと、捕獲したでしょ?
GPSだけじゃない。ありとあらゆる文明の叡知を結集して、みちるちゃんの行動を全力で監視してるよ!」

『胸を張るな!』

だからマイコはそこら辺を走れって言ったのか…。
どこまで突き詰めちゃうの?
ストーカー気質。

『ちゃんと大学は卒業してね?あ!“ゆかりさん”って誰?!』

葵の表情が曇った。
まさか…?!
“スケコマシ”デビューしちゃったの?!

「‥何を言い出すかと思ったから‥はぁ。くだらない…」

『くだらなくない!葵は早織ちゃんのコトも隠してた!』

「‥そうだけど‥あらぬ誤解を受けたくなかっただけ。早織は妹みたいな存在だけど、そういう関係じゃない」

『エッチなコトしようとしてた癖に!!』

「‥見てたの?…」

眼が泳ぐ私。

「‥あなたがソウスケを選ぶならって‥早織の気持ちに応えようかと思ったけど……出来なかったよ」

『反応しなかったの?』

「え?勃ったよ?ビンビンに」

ビンビンって……。

『私の時には反応しなかった!』

葵と私の視線が同時に泳ぐ。

「―あの時は、みちるちゃんが消えてしまいそうで‥怖くて…。
緊張もしてたし。
女のひとの裸を見たらそりゃムラムラはするけど、あなたに抱く感情とは全く違う。
違うから、今まで抱かなかった。
信じてもらうために。
言葉じゃ、きっとあなたは信じないから。
態度で示してきた。
‥‥みちるちゃん、うちのじいちゃんの名前は?」

『へ?藍鉄さん?』

「そう‥じいちゃんは藍鉄。父ちゃんは若草。目黒家はね、男子には色の名前を付けるのが決まり。
葵色って何色か知ってる?」
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