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Re:again
第15章 【薔薇色の日々】
『青?』
「不正解。青みがかった紫色のコト。
父ちゃん、母ちゃんにゾッコンだから…母ちゃんの名前からとった。
“ヴィオレット”つまり紫色。
だからオレは葵って名付けられたの。
…“ユカリ”が誰かわかった?…」
『全然わかんない……』
「‥言ったでしょ?
オレはね、次男。上に兄貴がいるの。紫って書いて“ユカリ”。
うちの兄貴だよ」
『えっ?えっ?お兄さん??』
「そう‥女のひとなんかじゃない。
ただの頭がおかしな30歳の糞兄貴。アメリカ研修の話を聞き付けて、会いに来い、甘納豆持って来いって騒いでただけ…」
『お兄さん、アメリカにいるの?』
「そう‥マンハッタンで探偵やってるの…」
うわぁ…胡散臭い。
安田三兄弟並に目黒兄弟も面倒くさそう。
「‥心配事はおしまい?
半分ヤケクソだったけど…純潔を守り通しました。
オレはね、身も心もすっかりみちるちゃんのモノだよ。あなたが気付いていなかっただけで、昔からあなただけのモノだった…」
葵が方膝を地面に付き、私を熱く見上げた。
「‥【お願い事】を叶えて。
オレは何も持っていない。お金もない。
まだ学生だし、将来が安心だという確証もない。
あなたに捧げられるものだといえば愛情だけ。
だけど、オレの気持ちは変わらない。
ずっと、未来永劫変わることがない。
―あなたを心から愛しています」
白い半袖の肌着、黒いヤッケズボン、泥まみれの黒い長靴、麦わら帽子…絶世の美男子の癖に格好に構わない。
頭が良いのに奇行が多くて、猟奇的なストーカー。
…いつも私のそばにいてくれた、優しい葵。
私を見つめ続けた、ひたむきな瞳。
「“オレをみちるちゃんのお婿さんにして下さい”」
震える指で、葵は小さな箱を私の手のひらの上に載せた。
『葵……』
「断られても諦めない。逃げたって地獄の果てまで追い掛ける。
みちるちゃんだってオレを愛してる。
愛し合っているから、逃がさない。
‥出逢ってしまったから、運命がオレたちを離さないよ。
不器用でもイイから、ヘンテコだって構わないから……オレを幸せにして」
「不正解。青みがかった紫色のコト。
父ちゃん、母ちゃんにゾッコンだから…母ちゃんの名前からとった。
“ヴィオレット”つまり紫色。
だからオレは葵って名付けられたの。
…“ユカリ”が誰かわかった?…」
『全然わかんない……』
「‥言ったでしょ?
オレはね、次男。上に兄貴がいるの。紫って書いて“ユカリ”。
うちの兄貴だよ」
『えっ?えっ?お兄さん??』
「そう‥女のひとなんかじゃない。
ただの頭がおかしな30歳の糞兄貴。アメリカ研修の話を聞き付けて、会いに来い、甘納豆持って来いって騒いでただけ…」
『お兄さん、アメリカにいるの?』
「そう‥マンハッタンで探偵やってるの…」
うわぁ…胡散臭い。
安田三兄弟並に目黒兄弟も面倒くさそう。
「‥心配事はおしまい?
半分ヤケクソだったけど…純潔を守り通しました。
オレはね、身も心もすっかりみちるちゃんのモノだよ。あなたが気付いていなかっただけで、昔からあなただけのモノだった…」
葵が方膝を地面に付き、私を熱く見上げた。
「‥【お願い事】を叶えて。
オレは何も持っていない。お金もない。
まだ学生だし、将来が安心だという確証もない。
あなたに捧げられるものだといえば愛情だけ。
だけど、オレの気持ちは変わらない。
ずっと、未来永劫変わることがない。
―あなたを心から愛しています」
白い半袖の肌着、黒いヤッケズボン、泥まみれの黒い長靴、麦わら帽子…絶世の美男子の癖に格好に構わない。
頭が良いのに奇行が多くて、猟奇的なストーカー。
…いつも私のそばにいてくれた、優しい葵。
私を見つめ続けた、ひたむきな瞳。
「“オレをみちるちゃんのお婿さんにして下さい”」
震える指で、葵は小さな箱を私の手のひらの上に載せた。
『葵……』
「断られても諦めない。逃げたって地獄の果てまで追い掛ける。
みちるちゃんだってオレを愛してる。
愛し合っているから、逃がさない。
‥出逢ってしまったから、運命がオレたちを離さないよ。
不器用でもイイから、ヘンテコだって構わないから……オレを幸せにして」