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Re:again
第7章 【EAT ME!】
『そんなこと‥ない。
私は嘘ばかりついてる』
いつだって他人を傷つけて生きている―
「お前の眼は真っ黒で、夜明け前みたいに静かでいい。
俺はお前の眼が好きだ」
いつになく真剣な声の爽介に、心臓が再び騒ぎ出す―
『‥爽介…』
「ちょっとお前の目ん玉ほじらせてくんない?
俺だけしか映らないようにしてやりたい」
このどSがッ…。
―夕闇の中で爽介は目を細めた。
波が夜に飲み込まれていく様子に見入る。
「…なぁ、過去にかえりたいって思うことあるか?」
『―私は‥基本的に過去を振り返らない人間だから。
例えば、あの時こうしていれば良かったな‥って思っても、失敗込みで必要なこと、避けられない出来事だったんだって思うようにしてる。でも‥』
「でも?」
『‥どうしようもなく傷つけてしまったひとがいるの。
過去に戻れるのなら、そのひとを救いたい。
そのひとが一番、私の手を必要とした時に―
私はそのひとの手を振り払ってしまったから。
…憎まれていると思う』
「…ソイツは今も生きてる?」
『うん』
「なら、大丈夫じゃね?
ソイツが今も傷ついていてみちるを憎んでいたとする。
でも、それはソイツだけの問題。
みちるは赦されたいと願っていたとする。
それはみちるだけの問題。
必ずしも想いは一致しない。
それぞれの心の問題だから。
各々でオトシマエつけるしかないっしょ。
‥ソイツはいつか、みちるを赦せる時が来るかも知れない。
みちるは赦される時が来るかも知れない。
それはもう、訪れているかも知れない。
誰にも確かめようがない。心の中は見えないから。
‥だから、ありのまま受け止めろ」
『‥なんか爽介、大人みたい』
「大人だろ。俺もお前も哀しいくらいに。
……………みちる…」
爽介の影が私の顔に落ちた。
躊躇いがちに頬に手が添えられる。
目蓋さえ閉じれば、優しい口付けが落とされるだろう。
爽介の瞳が切なく私を求めている―
でも私は……爽介の唇を拒んだ。
微かに顔を背けただけではあったけれど―
明確な意思をもって爽介の唇を拒んだ。
爽介が小さく息を飲んだ。
「――俺は過去にかえれるなら、あの頃のお前に会いたい。
あの日にかえりたい」
*****
私は嘘ばかりついてる』
いつだって他人を傷つけて生きている―
「お前の眼は真っ黒で、夜明け前みたいに静かでいい。
俺はお前の眼が好きだ」
いつになく真剣な声の爽介に、心臓が再び騒ぎ出す―
『‥爽介…』
「ちょっとお前の目ん玉ほじらせてくんない?
俺だけしか映らないようにしてやりたい」
このどSがッ…。
―夕闇の中で爽介は目を細めた。
波が夜に飲み込まれていく様子に見入る。
「…なぁ、過去にかえりたいって思うことあるか?」
『―私は‥基本的に過去を振り返らない人間だから。
例えば、あの時こうしていれば良かったな‥って思っても、失敗込みで必要なこと、避けられない出来事だったんだって思うようにしてる。でも‥』
「でも?」
『‥どうしようもなく傷つけてしまったひとがいるの。
過去に戻れるのなら、そのひとを救いたい。
そのひとが一番、私の手を必要とした時に―
私はそのひとの手を振り払ってしまったから。
…憎まれていると思う』
「…ソイツは今も生きてる?」
『うん』
「なら、大丈夫じゃね?
ソイツが今も傷ついていてみちるを憎んでいたとする。
でも、それはソイツだけの問題。
みちるは赦されたいと願っていたとする。
それはみちるだけの問題。
必ずしも想いは一致しない。
それぞれの心の問題だから。
各々でオトシマエつけるしかないっしょ。
‥ソイツはいつか、みちるを赦せる時が来るかも知れない。
みちるは赦される時が来るかも知れない。
それはもう、訪れているかも知れない。
誰にも確かめようがない。心の中は見えないから。
‥だから、ありのまま受け止めろ」
『‥なんか爽介、大人みたい』
「大人だろ。俺もお前も哀しいくらいに。
……………みちる…」
爽介の影が私の顔に落ちた。
躊躇いがちに頬に手が添えられる。
目蓋さえ閉じれば、優しい口付けが落とされるだろう。
爽介の瞳が切なく私を求めている―
でも私は……爽介の唇を拒んだ。
微かに顔を背けただけではあったけれど―
明確な意思をもって爽介の唇を拒んだ。
爽介が小さく息を飲んだ。
「――俺は過去にかえれるなら、あの頃のお前に会いたい。
あの日にかえりたい」
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