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第7章 【EAT ME!】
『してない!』

「‥オレが嫉妬に狂いながら野菜を切り刻んでいる間、みちるちゃんはソウスケと亀甲縛りして遊んでたんだね……」

『それもしてない!』

「‥オレが嫉妬に狂いながら野菜を切り刻んでいる間、みちるちゃんはソウスケと六甲おろし唄ってたんだね……」

『唄うわけねぇだろ!』

ふすまが約10cm開いた。
その隙間に頭を突っ込もうとする。
モンスターに額を噛みつかれる!痛ッ!

『セックスも亀甲縛りも六甲おろしもしてないから出てきてよ…
私が悪かったから……』

葵の白くて細い人差し指がふすまからにゅっと出てくる。
その指にそっと私の人差し指をくっつける。
葵、星に還っちゃうの…?

「‥キス、した?…」

あー‥それは…
思わず目が泳ぐ。

「…………したんだ……」

人差し指が離れて、ふすまが閉まりそうになったので腕を差し入れる。
ぐぐぐ‥
モンスターに手の甲を噛まれた!
今夜の葵は荒れている…。

『今日はしてない!』

「‥今日じゃない日はしたんだ…」

『そうだけど、今日はしてない!!』

一気にふすまが開いた。
布団と布団のサンドイッチの間に泣き腫らした葵の顔が挟まっていた。
よくそんな狭いところに大きな身体をねじ込んだな‥。

「‥どうして?
どうして今日はしなかったの?……」

『葵の顔が浮かんだから…出来なかった』

爽介とキスをしそうになった時―
私は葵の顔を思い出した。
葵の笑顔。ピンポンダッシュキス。悲しそうな顔…色んな葵を思い出してしまい、気がついた時には爽介の唇を拒んでしまっていた。
キスなんて出来なかった。

潤んだ瞳で私を見つめる葵。
パンパンになった葵の頬を撫でる。
熟れすぎたトマトのように赤い。

『ごめんね‥ごめんなさい。葵。
葵の気持ちを踏みにじってごめんなさい。
飾り付けありがとう。
野菜スティックもありがとう。
待っててくれてありがとう…』

べそかきサンドイッチモンスターは汗がびっしょり。細い髪の毛が縮れてもつれている。
綺麗な顔がくしゃくしゃ。

「‥帰ってこないかと思った…」
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