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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
『‥私が一番大事にしなきゃいけないモノって葵なの?』
「さぁ。自分で考えればぁ?
‥大事にしなきゃいけないモノっていうのはさ、ひとじゃないかもよ。
もっと不確かな、目には見えないモノかも」
『何それ!謎なぞみたいなんですけど!
男心に続いて自分自身がわからないとか微妙すぎる‥書きとりしようかな』
「書きとり?何よそれ。馬鹿ねぇ‥。
まぁほら、あれよ。
みちるは今、葵君に試されてる。
《男アソビするな》じゃなくて《嘘をつくな》ってところが心憎いわね。
試されてるっつったら爽介君たちにもかしらね。
どこに転がっても私的には愉快だわっ!
くくくっ。せいぜいもがけよ、みちる」
『マイコ‥まったくもう』
つるんと皮の剥かれた冷やしトマトにかぶり付く。ジュワッ。
冷え冷えで美味しい。
「ポンコツなみちるが愛しいわ。
みちる―
自分のお尻は自分で拭きなさいよ?」
*****
マイコと食べるごはんは楽しくて、美味しくて呑み過ぎてしまった。
鍵がすぐに見つからず部屋の前でもたつき、脚がもつれ玄関で転んだ。
傘立てが倒れ、大きな物音を立ててしまう。
トイレに駆け込む。
近頃まともに食事をしていないのに、一気に食べたのもいけなかった。
胃がびっくりしたのだろう。
シャワーを浴びて早く休みたいのに、立ち上がることが出来ない。
便座の蓋にもたれる。
玄関が開く気配がした。
「‥みちるちゃん?…」
葵の声。
夢の中だけでも、会いたかったから嬉しかった。
でも、情けない姿を晒すのが怖いような気もする。
見つからないわけがないのに、見つかりませんようにと胸の奥で小さく祈る。
「‥何してるの…どうしてそんな風になるのがわかっているのに呑むの…」
呆れたような葵の声。
振り向かなくても、その表情が想像出来る。
『葵には‥わからないよ』
恥ずかしくてつい声が尖ってしまう。
「さぁ。自分で考えればぁ?
‥大事にしなきゃいけないモノっていうのはさ、ひとじゃないかもよ。
もっと不確かな、目には見えないモノかも」
『何それ!謎なぞみたいなんですけど!
男心に続いて自分自身がわからないとか微妙すぎる‥書きとりしようかな』
「書きとり?何よそれ。馬鹿ねぇ‥。
まぁほら、あれよ。
みちるは今、葵君に試されてる。
《男アソビするな》じゃなくて《嘘をつくな》ってところが心憎いわね。
試されてるっつったら爽介君たちにもかしらね。
どこに転がっても私的には愉快だわっ!
くくくっ。せいぜいもがけよ、みちる」
『マイコ‥まったくもう』
つるんと皮の剥かれた冷やしトマトにかぶり付く。ジュワッ。
冷え冷えで美味しい。
「ポンコツなみちるが愛しいわ。
みちる―
自分のお尻は自分で拭きなさいよ?」
*****
マイコと食べるごはんは楽しくて、美味しくて呑み過ぎてしまった。
鍵がすぐに見つからず部屋の前でもたつき、脚がもつれ玄関で転んだ。
傘立てが倒れ、大きな物音を立ててしまう。
トイレに駆け込む。
近頃まともに食事をしていないのに、一気に食べたのもいけなかった。
胃がびっくりしたのだろう。
シャワーを浴びて早く休みたいのに、立ち上がることが出来ない。
便座の蓋にもたれる。
玄関が開く気配がした。
「‥みちるちゃん?…」
葵の声。
夢の中だけでも、会いたかったから嬉しかった。
でも、情けない姿を晒すのが怖いような気もする。
見つからないわけがないのに、見つかりませんようにと胸の奥で小さく祈る。
「‥何してるの…どうしてそんな風になるのがわかっているのに呑むの…」
呆れたような葵の声。
振り向かなくても、その表情が想像出来る。
『葵には‥わからないよ』
恥ずかしくてつい声が尖ってしまう。