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Re:again
第8章 【紫陽花色の雨】
葵の声が心から安堵したようなものだったのでホッとする。
私が良く知っている、ずっと昔から変わらない葵に戻った。
良かった。いつもの葵だ。

『昨日、葵が夢に出てきたよ。
出会った頃の葵だった。中学生の葵の顔がよく見たかったのに、見ることが出来なかった。そのまま目が覚めちゃったの』

昨日は夢で会えたし、今日は本物の葵に会えた。
時々、怖い葵になったけど今の葵は怖くない。

「‥みちるちゃんは…昔のオレの方がいいの?今よりも?」

『ううん。昔からずっと変わらない、優しい葵が好き』

葵がこの部屋にいるのが嬉しくて、以前と同じように会話出来るのが嬉しくて、声が弾む。
楽しい気分のまま葵を見上げると、葵は冷ややかな眼差しで私を見下ろしていた。

「‥みちるちゃんは…オレが変わっていないと思っているの‥?
ずっとそのままだって‥?…」

凍りつくような固い表情―
葵がどうしてそんな顔をするのかわからない。

『ずっと変わらないままでいたい。
今までと同じように。
優しい葵でいて』

また葵に拒絶されるのが、この部屋からいなくなってしまうのが恐ろしくてすがりつくような声になる。
唇が触れ合うような距離で葵が私を睨み付けた。

「無理」

『どうして‥?
葵は皆に優しい子でしょう…?』

私をねめつける眼差しが一際鋭くなる。
声は自然と弱くなり震えてしまう。
葵の全身から殺気を感じた。
髪の毛を掴まれ悲鳴が出そうになった。

―打たれる!
無意識に顔を覆う。
覆った手のひらが振り払われる。払われた手に痛みが走った。
髪の毛はすぐに自由になった。
胸の前に腕をかきあわせる。そうしていないと自分を見失ってしまいそうだった。
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