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絹倉家の隷嬢
第2章 接触
 桜子が袖から両腕を抜く。ガウンは桜子の身体を滑りながら床に落ち、彼女の裸体があらわになった。
 深紅に覆われた部屋が蝋燭の光を紅く変え、桜子の裸体を妖艶に照らし出す。
 「え……あの……ちょっと……!」
 修一はうろたえた。
 突然の桜子の行動に、どう反応していいか分からない。
 それでも陰茎はズボンの中で固く勃起している。
 慌てて修一は桜子から目をそらして絨毯を見た。

 「質問するわよ? 簡単な質問……『ハイ』で答えなさい。今から作る二人だけの秘密、守れる?」
 「ひ、秘密……?」
 「『ハイ』だけ。『イイエ』はナシよ」
 「……」
 「早く」
 「……ハイ」
 修一は依然うつむいたまま答えた。
 「いいコね……ねえ、見たいんでしょう? 私を見なさい」
 もちろん、見たい。かといって言われるまま素直に直視もできなかった。
 「でも……」
 「大丈夫よ……火曜はね、お父様がお母様を連れ立ってパアティに行かれて、朝まで戻らないの」
 「いえ、あの……」
 桜子に翻弄され、修一はまともに言葉が発せられない。
 「屋敷の他の者だって誰もここには来ないわ」
 桜子がそう言うと、修一の目の前の絨毯に小さな金属が投げられた。
 鍵だ。
 修一はしばらくその鍵を見ていたが、やがておそるおそる桜子の裸体に視線を移した。

 それは全部が曲線だった。柔らかい輪郭が、胸のふくらみを描き、腰のくびれを描き、丸い尻を描き、なめらかな脚を描いていた。
 しかし修一の中に次々わき起こるのは、性欲の対象としての欲情だった。美しさの対象として女体を見る気持ちなども微塵もなかった。
 あるのはただ、修一の中で目覚めつつある『牡』の業だった。

 これが――
 女性の裸――。
 目線は、勝手に丸く柔らかな乳房と股間に移ってしまう。
 乳房の先はただ桃色の小さな突起があるだけなのに、股間は太ももを閉じられて薄く柔らかそうな毛が生えているだけなのに、修一をひきつけてやまない。
 修一の脈は速くなり、身体が熱くほてってくる。
 陰茎はふくらみ切っているのに、まだふくらもうと暴れている。
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