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絹倉家の隷嬢
第3章 耽溺
ようやく桜子との逢い引きの時がやってきた。
責め絵本で女体の縛り方を頭に叩き込んできた修一は、淡い真紅の明かりの中、部屋の中央で壁からの七体の桜子の視線を一身に浴びながら、『生の方』の桜子を縄で縛っていた。
今日の桜子は錦紗の着物を着ていた。写実的ではなく、当世風に装飾的に描いた薔薇が並ぶ意匠の美しい着物だ。
帰宅したばかりだという桜子のこの着物姿に、修一は思わず見とれてしまった。
ふとした拍子に見た、衿からのぞく桜子のうなじは――
それもまた、修一に新鮮な情欲をわき上がらせた。
修一は桜子の着物を脱がさずにはだけさせ、そのままで身体を縛っていった。
触れたことのない高級な着物を雑に扱っていいものか、傷めてしまうのではないかと一瞬心配になったが、桜子が構うことはないと言ったので修一は緊縛を続けた。
女体を縛るために縄を使うことなど初めてである。父の手伝いで舟の積荷を縛ったり、舟を係留させるために使ったりはお手の物であったが、そのおかげで責め絵を見ただけで、修一には女体のどこに縄を回し、引っかけ、結んでいるのかは容易に分かった。
修一は、『スツゥル』――桜子に呼び名を教わった、背もたれとひじ掛けのない小さい椅子――に、桜子を緊縛していた。
桜子は着物の帯をとかれ、前合わせをはだけさせられ、裾は襦袢ごと尻が見えるまで裏返しにされている。
修一は桜子を、四つん這いでスツゥルを抱えるような体勢にさせ、胴体とクッションとをまとめて縄を回して固定し、前に垂れさせた腕は片方ずつスツゥルの脚一本一本にくくりつける。
「……ハアッ……」
桜子の裸体を修一が力を入れて締め付けるたびに、その口からは悩ましげな吐息が漏れる。
同時に、修一も初めての昂りに息が荒くなる。
女体を縛ることが、こんなにも魅惑的で蠱惑的な、妖かしに満ちた行為だとは思わなかった。
女性の自由を奪い、支配下に置くようなこの感覚。
そのうえ相手は子爵家のお嬢様だ。
華族の子女を恥辱的な姿のまま身体の自由を奪う、ただそれだけで、修一の陰茎からは体液が飛び出してしまいそうだった。