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絹倉家の隷嬢
第3章 耽溺
 桜子は、目の前でまだ身体を小刻みに震わせている。そのたびに、ほんの一瞬遅れて震えが波紋として乳房に伝わり、小さく波打ち、乳首に到達する。

 修一は桜子に会って、初めて女も達するものだと知った。男は達すると精を放出するが、女にはそれがない。しかも立て続けに何度も達することができる。何度も快楽で全身をしびれさせることができることがうらやましいとも思った。

 修一は、そのまま倒れ込み、桜子の緊縛された裸体を抱きしめた。
 二人とも汗だくだった。
 呼吸を荒くして、お互いの口を吸った。
 「桜子さん……僕は……あなたが好きです」
 顔を紅潮させたままの桜子がほほ笑む。
 「マア……フフフ。結婚したいとでも言い出しそうね?」
 「……」
 「まだ四五年は待たないといけないかしら?」
 修一は少しうつむいた後、立って桜子の緊縛を解き始めた。
 「……それも……いいかも知れないわね……」
 桜子の目はどこか遠くを見ていた。
 傷だらけの身体に、食い込んだ縄の痕が艶めかしい。

 桜子と修一の目が合う。
 「私もあなたが好きよ」
 桜子はまだ顔をほてらせたまま、ほほ笑んだ。
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