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絹倉家の隷嬢
第4章 開錠
 「すっかり大人の女に成長したな、桜」
 桜子はおびえるように総太郎を見ている。
 「お……お兄様……いつ日本に……? まだ、ご留学中で……いらっしゃるのでは……」
 「父上から電報が届いた……急用だとね。聞いていないのか?」
 桜子はかすかにうなずいた。
 「……お前と会わせたくはないだろうからな」
 「ああっ……」
 桜子はあきらめのような、安堵のような、そんな複雑な声を出した。

 総太郎は、桜子を縛っている縄をつまんだり、握って引いたり、結び目に近づいて見たりしてから言った。
 「誰が縛ったのかね?」
 「……僕です」
 修一は、三河のように股間を隠すこともせずに言った。今さら隠したところで仕方がないと思ったからだ。
 「君のような少年が……? 名前は?」
 「今村修一……です」
 「これは面白い驚きだ、素晴らしい腕前だと言っておきたい。私の妹をこんな風に縛るとは……」
 総太郎は懐からピストルを出すと、修一に向けて引き金を引いた。
 銃声が響いた。
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