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絹倉家の隷嬢
第4章 開錠

(2)

 実弾だった。
 本物の銃声に、修一の足は小刻みに震え、力が抜けてへたり込んでしまった。

 「修一君、お礼を差し上げようとしたのに違う方向に飛んでしまった……すまない」
 そう言って総太郎はピストルを懐に入れて立ち上がり、ちょうど修一の背後に位置する桜子の人形に近寄った。
 その桜子の片方の乳首を、銃弾が貫通している。

 「桜、生き人形の手入れは怠らなかったようだね。せっかくお前が綺麗に残しておいてくれたのに、一人傷物にしてしまった……これでは嫁にも出せまい」
 総太郎は手を伸ばし、乳首に穴の空いた人形の乳房をなで回した。
 その顔は、いつの間にか悲しみに満ちた表情に変わっていた。

 修一は悪寒が走るのを感じた。
 修一も三河も、この奇妙な状況に陰茎はしぼんでいた。

 総太郎は近くの人形から別の鞭を手にして、桜子の後ろに立った。
 桜子の尻は、時間が経って治ってきている痣、ほとんど消えかかっている痣、さっき修一に刻まれたばかりの腫れた痣……様々な紅い線で埋め尽くされている。

 総太郎は悲しげな表情のままで言った。
 「……桜、こんなにも自慢の尻を無残に打たれて……」
 修一は少し身構えた。
 「さぞかし……嬉しかったろう」
 そう言うと突然、総太郎は何度も何度も激しく桜子の尻を鞭打った。

 悲しそうな表情のまま顔色ひとつ変えず、しかし強烈な力で腕を振って桜子を打ちまくった。
 「アギャアアアアアッッッ!! ヒギイィイイッ!! アヒ、アヒ、ギャァアアァァッ……!!」
 桜子は兄の鞭打ちに絶叫した。
 修一でもここまで強く打ったことはない。
 みるみる間に桜子の尻に紅い痕が新たに増えていく。
 総太郎は鞭打ちの手を止めた。
 「アウッ……ア……アアッ!!……ハアッ!……」
 鞭打ちが止まっても、桜子は尻や腰をひくつかせ、秘唇をテラテラ濡らし、声を上げている。

 「桜はね、真性のmasochistなのだよ」
 修一にはその英語の発音は聞き取れなかったが、おそらく――鞭打ちや縛りで快感を感じる者のことを意味するのだろう。
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