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絹倉家の隷嬢
第5章 歯車
 三河は桜子を見ることもなく、ずっとうなだれているが、修一はしっかりと桜子を見ていた。
 股の縄が、桜子の顔を紅潮させ、悩ましげな光を瞳に宿らせ、身体をよじらせる。
 小刻みにピクッ、ピクッ、と身体が動くと、形の良い乳房が少し遅れて震える。

 やがて、桜子の身体がひときわ大きく跳ねたかと思うと、彼女は絶叫した。
 「イッ……アアッ……アハアアァァァアアアッッッ……!!」
 桜子はそのまましばらく痙攣を続けた。
 桜子が達したのはもう何回目だろうか。
 それでも股の縄は、その動きを変えることも緩めることもなく、桜子を責め続ける。

 修一は、ずっと責められ悶えている桜子の顔をうつろな目で見ているが、桜子は修一の方を見ない。むしろ、避けているように思える。
 修一は言った。
 「……嘘だったのですね」
 桜子に向かって言ったのだが、桜子はあごを上げ喘ぎ声を空に放っている。
 「……僕のことが……好きだなんて」
 「……ンンッ……ン……ンハッ……」
 「……何も言ってくれないんですか?」

 桜子は答えず、縛られた両腕を軸に切なげに小刻みに震えながら、上を向いて片方の肩を前に出したり、下を向いて背中を後ろに張り出したりしている。
 桜子の全身には、しっとりと汗が浮かんでいる。

 「……黙ってるなんて卑怯ですよ」
 「ンアッ……ンアッ……」
 桜子は相変わらず修一の方を見ることなく、全身の震えは再び徐々に大きくなってくる。
 修一は声を張り上げた。
 「『ハイ』で答えてください! 嘘だったんでしょう!?」

 その時桜子は、目を強く閉じ、歯を食いしばり始めた。
 結び目がまたひとつ、桜子の秘唇から抜け出る。
 桜子は小刻みに震えながら、全身に力を入れている。
 「グ……、フーッ……フーッ……」
 歯を食いしばったまま荒い息を吐き出している。
 達するのを我慢しているかのようだ。
 もう何度も達しているのに、今さら何を我慢する必要があるのか――。

 桜子の震え方は何かの熱病にでも冒されているような、病的な感じのするものに変わってきた。
 次の結び目が桜子の秘唇を抜けた時――
 「イヤッ……イヤッ……アガッ……アッハッアアアンンンッッッ……!!」
 桜子は再び全身を跳ねさせて、ピクッ、ピクッと痙攣を残しながら力が抜けてうなだれた。
 また、達してしまったようだ。
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