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絹倉家の隷嬢
第1章 邂逅
 三年前と違って、今の修一は二人が『性交』していることを理解していた。それくらいの知識は持ちあわせていたが、実際にやったことはない。

 心なしか、女の身体はあの頃と違って大人のそれに見えた。幼さは感じられず、代わりに妖しさのようなものが漂っている。顔は見えないが、髪はうなじくらいまでの長さに短く切り揃えられているようだ。

 「……アンッ……アンッ……」
 女の声が聞こえてくる。
 しかし、以前のような奇妙な声ではない。
 叫び声でもない。
 それに、男は女の尻を鞭で打つでもない。

 修一が来る前に鞭打ちを終えたのだろうか。
 三年前とは女が違うのか? 男が違うのか? あるいはどちらも違う人物なのか?
 「……アウッ……ハア……ッ……」

 それでも、女の切なげな小さな声は、学生服のズボンの中の修一の陰茎を破裂寸前にまでふくらませるには十分な妖しさを持っていた。
 修一の身体の中を、淫靡な渦が駆け巡って内側からかきむしってくる。
 目は開き切って、呼吸が荒くなる。

 充満してくる欲情のほとばしりを早く噴き出さないと――おかしくなりそうだ。
 修一は今すぐ手でしごきたい衝動に駆られるが、片手に縄をつかんで、かろうじて両足をレンガの上に乗せている不安定な姿勢では、それはかなわない。

 修一は急いで窓から離れ、縄を伝って地表に降りた。森へ走ろうとしたが、まだ友人たちがいるかもしれない。
 一刻も早く、自らの陰茎をしごきたい一心で、修一は家に向かって駆け出した。

 家に着いた修一は、すぐに厠へ飛び込むと、ズボンを下ろしてふくらみ切った陰茎を手で握り上下させた。全身をかきむしる欲情の渦が、下腹部へと集まってくる。さっき見た女の尻と、女の淫靡な声とが頭の中を駆け巡る。

 やがて修一の陰茎の先から、子供のころよりも量が増えて、色も濃い白になり、粘度も高くなった液が二三回に分けて飛び出した。液が飛び出すごとに、修一の脳にしびれが走り、身体の中を渦巻いていた衝動は綺麗に消え失せ、心地良い疲労感が全身を包んだ。

 とうとう――
 『催し』は再開された――。
 修一は、あのころより多少分別ある理性と、忘れていた甘美な誘惑との間で揺れ動いた。
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