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青に染められて
第4章 勝負と奉仕
台所で悔しげに包丁を握り、テーブルに置かれた大小の異なる弁当箱

テーブルの下には大きなダンボール

その中にはぎっしりと旬の野菜が詰め込まれている

彼女の小さな冷蔵庫は食材でぱんぱんになった

それもこれも昨日の放課後に遡る

包丁を握る手に力が入る

彼女は昨日へ記憶を向けた

ピーっ!

審判役をかった水泳部の先輩の試合開始の笛がなる

細かく水を切る音と共に水中を陸を走るより速く

切り裂くように進んだ


タイムも向上していたのもあり負ける気なんて全くしなかった

100m自由を泳ぎ顔を上げて後ろを振り返る

揺れる水面は穏やかそのもの

「おいどこ見てやがる」

頭上から雫とともに声が頭にかかった

浅黒い肌を煌めかせ、水敵を纏う男が見下ろしていた

唖然・騒然・愕然

しばらくプカプカとプールに浮いて


呆然と男を見上げるしかできなかった

プールサイドに入り切らないくらいの観客が一気にざわめいた

菜月の負けを残念がる水泳部員にブーイングを送る生徒

女生徒が黄色い歓声を絶叫する

耳をつんざく喧騒に意識を失いそうになった


いつもよりもかなり速いタイムだったのではと思うのに話にならないくらい男が速く泳ぎ終わっていた


菜月はそのままプールに沈んだ
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