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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
「麗子~
 こんな朝っぱらからなんなのよぉ」

麗子は瑠璃を助手席にのせて都内の高級マンションに来ていた。
エントランスで暗証番号を押しずんずんと進んでいく。

最上階の部屋のドアフォンを連打していた。

「おっはよう♪
 もう10時よ起きておきて♪
 天気は最高、買い物日和よ」

面倒くさそうにドアを開けた人を見て瑠璃は固まった。

ーー性別がわからない...

「今日はこの子の洋服を買いに行くの。
 ベティ、あなたスタイリストでしょ」

「だれなの、この地味な子」

ベティと呼ばれたスタイリストは瑠璃を舐めるように見た。

「失礼ね。私の依頼人よ」

「はん。またどっかで拾ってきたんでしょ。
 まったくお節介なんだから」

「拾ってきたんじゃないわ
 正真正銘、依頼人。自分から来たの」

「あっそ。
 で?名前は何て言うの?」

「あ、綾瀬瑠璃です」

瑠璃は上目使いに伺うようにベティを見た。

「綾瀬瑠璃?!
 どっかで聞いたことあるわね」

「よくいる名前よ。
 ベティは芸能界でスタイリストをしてるの。
 これでも売れっ子なのよ」

麗子はベティの眠たい頭が廻り始める前に話題を変えようとした。

「ベティ
 早く男でも女でもいいから仕上げてきなさいよ。
 そのまんまじゃ妖怪よ」

「何よ失礼ね
 私、今朝まで働いてたのよ
 人のこと叩き起こしておいてなんなのよその言いぐさは」

ベティはブリブリ怒りながらバスルームに消えた。

 
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