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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
「ベティさんと麗子さん
 仲良しなんですね」

瑠璃は麗子の背中を見ながら言った。

「まあね、私を助けてくれたのは麗子だから。
 本当に感謝してる」

さっきとは別人のように穏やかな顔で言った。

「スタイリストの仕事も麗子が紹介してくれたの。
 私、こんなナリでしょ。
 出来る仕事なんて限られてて
 大概は二丁目に行くしかないんだけど
 ベティはセンスがいいからって...

 私が今あるのは麗子のおかげ」

「そうなんですね」

「私もいろいろあってね
 シェルターにかくまってもらったこともあるの。

 麗子も麗子のお父さんも立派な弁護士さんよ」

「そうですね」

瑠璃も頷いた。

ベティは運ばれてきたスクリュードライバーを一気に飲んだ。

そのしぐさは...やっぱりオッサンだ。

そして今度はシャンパンを頼んだ。

「ねえ、瑠璃
 ちょっと立ち入ったこと聞いてもいい?」

ベティは瑠璃に向き直った。

「何ですか?」

瑠璃はベティを見た。

「違ってたらごめんなさい。

 あなたもしかして日野佳子の娘さん?」

「え?!」

瑠璃は動揺した。

「ごめんなさいね
 あなたと歩いてて思ったのよ。
 表情やしぐさが似てるなって」

瑠璃は小さく頷いた。

「どうりで。
 独特な雰囲気があると思ったのよね」

ベティはひとり頷いている。

「ということは...
 お父さんはオフィス綾の社長?」

「...」

瑠璃は俯き、なにも答えなかった。
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