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第9章 依頼人　瑠璃

洋輔は部屋を出た。

女は
「親権は渡さない」
とだけいった。

ただ分かったのは
瑠璃の父親の見当がついたことと
彼女は望まれて産まれてきたということだった。

それを瑠璃に伝えていいものか洋輔は迷った。

父親は日野佳子が知っているというだけで
洋輔に教えた訳じゃない。

母親が産みたくて産んだ子供とはいえ
母親の態度が変わるわけでもなさそうだ。

洋輔は日野佳子がどうするつもりなのか
静観することにした。


木枯らしが吹きすさむ地方都市の
人気のない深夜の街で
洋輔はコートの襟をたて
自分が予約した安ホテルへと足を向けた。

途中女に声をかけられる。
こんな町にも自分を売る女はいる。
金がほしいのか
生きていくためなのか...

洋輔は若い女の腰を抱いた。