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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
瑠璃は麗子に誘われ母の舞台を見に行くことになった。
あまり気が進まなかったが麗子の誘いとなると断れなかった。
舞台は不倫の末シングルマザーとして出産し、その男の愛も消え荒んだ生活をしている女の物語だった。
正直、何が面白いのかわからない舞台だったが
劇中の台詞に成長した娘が
『私なんて産まなきゃ良かったじゃない』
と母に詰め寄るシーンがあった。
その言葉に母の演じる女性は
『あの人を、愛していたから。
愛していたから、どうしてもあなたを産みたかった。
まさかこんな悲しい現実になるなんて思ってもいなかった。
あなたを不幸にしてしまってのは事実。
だから、本当にごめんなさい』
と娘に頭を下げるシーンがあった。
その時母が瑠璃を見つめていたことに瑠璃は小さな衝撃を受けた。
思えば不思議な母だった。
瑠璃を疎ましいと言いながら
食事や洗濯などの身の回りの世話はきちんとやってくれていた。
小学生になってから食卓を共にした記憶はほとんどないが地方ロケなどで留守にするとき以外は必ず食事の用意はしてあった。
そんな母を思い出して思わず瑠璃の頬が緩む。
ーー私を嫌っていたのではなかったの?
あまり気が進まなかったが麗子の誘いとなると断れなかった。
舞台は不倫の末シングルマザーとして出産し、その男の愛も消え荒んだ生活をしている女の物語だった。
正直、何が面白いのかわからない舞台だったが
劇中の台詞に成長した娘が
『私なんて産まなきゃ良かったじゃない』
と母に詰め寄るシーンがあった。
その言葉に母の演じる女性は
『あの人を、愛していたから。
愛していたから、どうしてもあなたを産みたかった。
まさかこんな悲しい現実になるなんて思ってもいなかった。
あなたを不幸にしてしまってのは事実。
だから、本当にごめんなさい』
と娘に頭を下げるシーンがあった。
その時母が瑠璃を見つめていたことに瑠璃は小さな衝撃を受けた。
思えば不思議な母だった。
瑠璃を疎ましいと言いながら
食事や洗濯などの身の回りの世話はきちんとやってくれていた。
小学生になってから食卓を共にした記憶はほとんどないが地方ロケなどで留守にするとき以外は必ず食事の用意はしてあった。
そんな母を思い出して思わず瑠璃の頬が緩む。
ーー私を嫌っていたのではなかったの?