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第9章 依頼人　瑠璃

「ごめんなさい、大丈夫？」

瑠璃もしゃがんで洋輔の顔を覗きこむ。
洋輔の唇が瑠璃の唇に重なった。

瑠璃はビックリして固まる。

「作戦成功♪
　ごちそうさん」

洋ちゃんは瑠璃の頭をクシャッと撫でて立ち上がった。

「なっ」

瑠璃は真っ赤になって洋輔を見上げた。

「なんだよ、そんな驚いた顔して」

洋輔が手を差し出す。

「ビックリするでしょ...ふつう」

「そうか」

はははと笑いながら瑠璃の手を引いて歩き出した。

「なあ、瑠璃買い物でもいかねえ？」

「え？洋ちゃんお金持ってるの？」

「それが...なんと
　万馬が当たった
　なんでも買ってやるぞ」

洋ちゃんはズボンのポケットから無造作に帯のついた札束をチラリと見せた。

「え?!」

「よし、デートだ」

洋輔はチラリと後ろを振り向き
瑠璃の肩を抱いて歩き出した。

「どうしたの？」

「ん？大金持ってるからな
　警戒してるんだ」

「そっか。気を付けないとね」

それから洋輔は通りかかったタクシーを拾い繁華街へと向かった。