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第9章 依頼人　瑠璃

初めて入る高級店に思わずキョロキョロしてしまう。

洋ちゃんは店のドアが開かれると私を先に促した。

ーーレディーファースト?!

瑠璃はまさかの洋ちゃんの行動に洋ちゃんを見つめてしまう。

「お待ちしておりました香川さま。」

慇懃な店員の挨拶に軽く笑顔で返して
瑠璃の腰を抱く

「よっ　洋ちゃん?!」

瑠璃は思わず洋ちゃんを見上げた。

「堂々と歩けよ」

洋輔に小声で諭されて足を前へ踏み出す。

個室に案内されるまでの間瑠璃の心臓は爆発しそうなほどドキドキと動く。

個室に入り店員がいなくなると瑠璃は膝から砕けそうになった。

「おいおい、飯食いに来ただけだぞ」

洋ちゃんは笑って瑠璃を椅子に座らせた。

「だって...慣れないことだらけで
　大人のデートって...疲れる...」

瑠璃は椅子に持たれて項垂れた。

「瑠璃にはまだ早かったか。
　デパートでオムライス食べた方か良かったか？」

洋ちゃんはニヤニヤと笑う。

「そこまで子供じゃない」

瑠璃はプッと頬を膨らませた。

「やっぱりオムライスだったか。
　子供に無理させて悪かったな」

洋ちゃんは瑠璃の膨らんだほっぺに人差し指を刺した。

プッと音をたてて萎んだ瑠璃を面白がっている