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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
タイミングよく運ばれてくる料理に緊張しながらも食事は進んでいく。
しかし洋輔のシルバーの扱いは惚れ惚れするほどスマートだ。

「洋ちゃん、なんでそんなに綺麗に食べられるの?」

瑠璃は上手くカットできないパイ包みに格闘していた。

「慣れだよ、慣れ」

洋輔は自分のフォークに刺したパイ包みを瑠璃の口に入れた。

「俺だって昔から上手かったわけじゃない。
 でも敏腕弁護士だったからな。
 上流階級とのお付き合いも多くてね。
 周りの手つきを盗み見しながら上手くなったんだよ
 なんでも努力と勉強だな」

瑠璃は思わず吹き出した。

「洋ちゃんから努力と勉強って一番似合わないよ」

「失礼なやつだな」

洋ちゃんが睨む。

洋輔の軽口のお陰もあって
瑠璃の緊張は徐々に抜けていった。

食事が終わりデザートを待っているとき
洋輔がふいに手元の紙袋から青い小箱を取り出した。

「瑠璃、誕生日プレゼントだ」

「え?!」

「開けてみろ」

瑠璃は促されるままリボンをほどく。
箱を開けると誕生石のついたベビーリングをトップスにしたネックレスが出てきた。

「瑠璃は今日から生まれ変わる。
 自分の意思で自分の好きなことをすればいい。
 楽しいことも悲しいことも
 年相応に経験しろ」

洋ちゃんは優しく笑った。

瑠璃は箱から視線をあげて洋輔を見つめた。

「洋ちゃん、ありがとう」


 
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