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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
「だからか...」

男が小さく頷いた。

「あいつ危なっかしくて見ていられなくて。

 なんで自分を傷つけることばっかりするのかってずっと思ってた」

男はぼんやりと珈琲を眺めていた。

「よくわからないけど
 
 誰にも言えない辛い過去があったんだな...」

男はゆっくりと洋輔に視線を合わせた。

「俺は瑠璃を救ってやることが出来るか?」

洋輔は微笑みなから頷いた。

「ああ。
 多分、あんただから出来ることがあると思う」

「そうか...」

男はそう呟いて珈琲を飲んだ。

「おれ、瑠璃が好きだよ。
 でも、なぜか恋愛には踏み切れなかった。
 恋愛とは違うんだ
 瑠璃への感情は。
 妹みたいな感じ。

 変な言い方だけど彼女より大事に思うときがある。

 うまく言えないけど...」

「わかるよ。
 俺も同じだ。

 とても大事な存在なんだ。

 不思議な子だよ。

 あいつ、恋愛運はないけど男運はあるんだ」

男たちは目を会わせて頬を緩ませ頷き合った。



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