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浮気断定社
第10章 依頼人 高橋 美樹
美樹は思い出したように携帯を取り出した。

「今六本木にいるの。
 すぐに来て。
 そう、いつもの店よ。
 麻布?
 六本木だっていってるでしょ!!」

美樹は怒鳴り付けると携帯を切り鞄にねじ込んだ。

美樹はクラブの扉を開けた。

少し前まではディスコと呼ばれ威圧感のある黒服と呼ばれるガードマンが客の品定めをしていた場所。

入口の黒服が美樹に気付きインカムで何か話している。

「六条さま。
 ようこそ。
 ただいまVIPルームをご用意いたしますのでしばらくお待ちください」

黒服が美樹に営業スマイルを向ける。

「踊ってるから用意ができたら呼んで」

そう言って荷物を手渡した。

お立ち台クイーンと呼ばれた美樹が踊り出すと小さな和が出来、男たちが囲み始めた。

30を過ぎても美樹の美貌とボディラインは崩れていない。

下心のある男たちが群がっていた。

一躍り疲れた美樹がカウンターで飲み物を飲んでいると黒服が現れVIPルームへ案内する。

「いつものツレが来るから案内してきて」

美樹はソファーに座りタバコをくわえると黒服に言った。

「かしこまりました」

黒服は慇懃に頭を下げて出ていった。

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