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第9章 依頼人　瑠璃

麗子が部屋に入ると
少女は呆然と立ち尽くしたままだった。

「菅原さんありがとう」

麗子が声をかけると

「宜しくお願いします」

といって女性は受付へ戻っていった。

「こんにちは。
　上条麗子といいます。
　ここで弁護士をしています。
　
　あなたのお名前聞いてもいいかしら？」

麗子は少女に向かって優しく微笑んだ。

少女は呆然としたまま返事をしない。
返事をするどころか麗子の存在すら意識のなかに入っていなかった。

麗子は少女に近づきそっと抱き締めた。

少女の体がビクンと震える。

少女は顔をあげ初めて麗子を瞳に捕らえた。

「大丈夫よ」

麗子は少女に優しく囁き抱き締める腕に少しだけ力を込めた。