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第9章 依頼人　瑠璃

「話せることだけでいいわ。
　何があったか教えてくれる？」

麗子は少女に優しく話しかけた。

少女は強く唇を噛み締めうつむいた。
どれ程の力で噛んだのか
少女の唇から血が滲み始めた。

麗子は少女を抱き締める。

「よく、頑張って生きてきたね」

その言葉に少女の瞳から涙がこぼれ落ちた。

ポロポロポロポロと少女の涙は麗子のブラウスを濡らす。

麗子はやっと泣けた少女を抱き締め彼女の涙が流れ続けるのを受け止めていた。

静かに泣き続けていた彼女がフゥッと息を吐いた。

麗子は背中をトントンと優しく叩く。

手で涙を拭った少女は麗子の顔を見た。

「ありがとうございました」

小さくお礼を言った。

「落ち着いた？」

少女は麗子の言葉にコクリと頷いた。

「何か飲む？」

その言葉にも頷いた。

「ちょっと待っててね」

麗子はそういうと部屋を出て冷たい麦茶を持ってきた。

普段麗子がお茶を出すことはないが
今は麗子以外に少女に人を近づけてはいけない気がしたのだ。