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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
麗子は瑠璃と向かい合わせに座り直し
鞄からノートとペンを取り出した。

「話せることだけでいいわ。
 あなたが嫌でなかったら録音させてほしいんだけど」

そう言って鞄からレコーダーを取り出す。

瑠璃は頷いた。

麗子がレコーダーをテーブルに置くと
瑠璃は大きく息を吸い込んでから
話し始めた。


「私の父は芸能プロダクションを営んでいます。

 母はアイドル志望で中学を卒業すると東京へ出てきて芸能コースのある高校に通いながらアイドルを目指していたそうです。

 父はその当時母のマネージャーでした。
 大きなプロダクションに所属していたそうですが母はなかなか売れず、二十歳を過ぎたときプロダクションから解雇を言い渡されたそうです。
 しかし母は夢を諦めきれず社長に泣きついたそうです。
 そして社長から出された条件は
 契約は1年。
 枕営業をすること。

 母はその条件をのみました。
 
 母はそれから広告代理店や作詞家、作曲家、音楽プロデューサー、脚本家などきっかけをつかめそうなあらゆる人に自分を売りました。
 普通はそこまですれば誰かしらの愛人に収まることができそこそこ売れるそうですが、母は誰の目にも止まらず単発の仕事はもらえてもそれ以上売れることはなかったそうです」

瑠璃はそこまで言うとフッと息を吐いた。


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