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第9章 依頼人　瑠璃

「大物女優の娘さんがなぜこんな目に遇わされているの？しかも実の父に...」

麗子はふと思った疑問を口にした。

「私は実の子じゃありません。
　というよりも
　私の父は誰なのかわかりませんし
　知りたくもありません」

瑠璃は悲しく笑った。

「子供の頃から言われ続けてきました。
　父は私に向かって
　『お前は俺の子供じゃない。
　俺は厄介を押し付けられただけだ。
　でもお前のお陰であいつは売れた。
　だからその礼として育ててやっているに過ぎない』と

　母には
　『好きで産んだ訳じゃない。
　　他に道がなかっただけよ。
　　あなたを見ると昔を思い出すから
　　私の前になるべく現れないで』
　と言われ続けました。

　私は誰からも望まれず、愛されることもなく生きてきました」

瑠璃は淡々と
きっといつもそうやって生きてきたのだろう
感情もなく言った。