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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
麗子は何か言葉をかけようとしたが
何も言葉が見つからず
ただ黙って頷いた。
「私が中学に入学する頃には父の会社は何人も売れっ子を抱えるそこそこのプロダクションになっていました。
その頃になると父と母は離婚の話をするようになりました。リビングでは毎日どちらが私の親権を取るかで揉めていました。
普通は子供の親権が欲しくて揉めるようですが
私の場合はどちらも押し付けあって決まらないのです。
父は『俺の子じゃない』と言い張り
母は『マネージャーのあなたに強要された結果だ』
とお互い譲りませんでした。
その話は私が目の前にいても平気で話されました。
私は"いらない子"だったんです」
そう言って瑠璃は悲しげな笑みを湛え
自分の手を見つめていた。
何も言葉が見つからず
ただ黙って頷いた。
「私が中学に入学する頃には父の会社は何人も売れっ子を抱えるそこそこのプロダクションになっていました。
その頃になると父と母は離婚の話をするようになりました。リビングでは毎日どちらが私の親権を取るかで揉めていました。
普通は子供の親権が欲しくて揉めるようですが
私の場合はどちらも押し付けあって決まらないのです。
父は『俺の子じゃない』と言い張り
母は『マネージャーのあなたに強要された結果だ』
とお互い譲りませんでした。
その話は私が目の前にいても平気で話されました。
私は"いらない子"だったんです」
そう言って瑠璃は悲しげな笑みを湛え
自分の手を見つめていた。