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浮気断定社
第9章 依頼人 瑠璃
 まだ若い女性たちが
 耳や鼻を削がれているのです。
 通りすぎる部屋の障子の隙間から吊るされた女性や血だらけになっている女性も見えました...

 逃げ出そうにも前後に男性に挟まれ
 逃げ出すことも出来ません。

 最奥の部屋に案内され
 この家の当主と呼ばれた初老の男性の周りに侍る女性に気絶しそうになりました。

 手足をもがれて転がっている女性や
 指を切り落とされた女性
 目を抉られた女性など
 とてもこの世のものとは思えない光景が広がっているのです。

 私はカタカタと体が震えだすのがわかりました。
 私もこんな風にされてしまうのだろうか...

 立ち尽くしたままその場に固まってしまいました。

 私の横に立っていた男が私の肩を押し座らされました。

 『当主の前で無礼だ』

 『すっ すみません』

 ひきつる声で必死に頭を畳に擦り付けました。

 『まだ年端も行かぬ小娘だ
  かまわん』

 床の間を背にした当主と言われた男は
 周りの異様な光景とはにつかわない優しい声で
 周りを諭しました。

 私は恐怖のあまり震えたまま動くことが出来ませんでした。


 
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