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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 トンジュがサヨンを抱きしめているその姿は、この女は自分のものだと叫びたい所有欲と共に女を守りたいという保護欲の表れでもある。
「眼が覚めましたか?」
 顔を覗き込んで訊ねられ、サヨンは頷いた。
「よく眠っていましたよ」
「私、どれくらいの間、眠っていたのかしら」
 トンジュが首を傾げ、空を仰いだ。
「そうですね。多分、一刻余り。そう長い時間ではないでしょう」
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