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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
「ここは本当に昼間でも陽が差さないのね。あなたの言ったとおりだわ」
 サヨンもまた力ない視線を動かし、空を見上げる。まだ昼になったかならない時刻だろうのに、空はどんよりとして太陽らしきものは全く見当たらなかった。
「いつもこういう日ばかりだとは限らないんですよ。それに、一日のうちのほんの限られたときだけ、太陽が出る時間帯があるんです。さもなければ、人間はここで暮らしていけやしませんし、花も咲かないし樹も育たない」
「そうなの」
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