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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第3章 幻の村
 そのときも本を胸に抱いて声を上げて泣いていたのだが、不運にも通りすがりの誰かがトンジュを見つけてしまったのだった。
―泣かないで。
 泣いている幼いトンジュの肩にそっと置かれた小さな手の温もり。
 そのときの記憶は、七歳の多感な少年の記憶に鮮烈な印象を残した。
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