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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第4章 涙月
 言うだけ言うと、下卑た表情でサヨンを見て、ひとしきり陰にこもった笑いを洩らした。
 トンジュの台詞の意味がさっぱり判らなかった。小首を傾げて見上げるサヨンから視線を外さず、トンジュが肩頬をひくつかせた。
「世間知らずだと思っていたが、まさかここまで無垢だとはなあ。あんた、本当に何も知らないんだろ、ああ、堪らねえな。色事はからしき駄目な癖に、あの身体だもんなぁ。売れっ妓の妓生の中にだって、これだけ良い身体をした女はお目にかかれやしない」
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