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氷の華~恋は駆け落ちから始まって~
第5章 彷徨(さまよ)う二つの心
眠りが十分ではなかったのかもしれない。サヨンは、まだ睡眠と休養を要求する身体を無理に意思の力で動かした。それでもゆっくりと上半身を起こしたつもりだが、わずかに動いただけで、腰に激痛が走った。
「―?」
何故、こんな痛みがするのだろう。別に転んで腰を打ったわけでもないだろうに。
訝りながら何気なしに視線を巡らせたその時、傍らに眠る男の姿が眼に入った。男を見た刹那、サヨンの顔が苦痛と恐怖に歪んだ。