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第8章 ドキドキオクサマ

　
　平日の昼下がり。

　ベッドタウンの外れである街中に人影は疎らだった。

　明るい陽射しの元、暑くもない気温に、時折爽やかな風が髪を靡かせる。


…や…やっぱり……意識…するとぉ………


　以前とは違って、意識的に下着を着けずに出歩く恭子の体温は、鼓動が早まると同時に上がっていく。

　ましてや、今回は明るい時間帯。

　目を凝らさなくても、歩くだけで揺れる胸や、フレアミニから伸びる太腿は視線を集めるのも必至。

　風に靡くスカートの裾が、恭子の鼓動を早めさせる。

　アパートを出て数分しか経過していないにも拘わらず、緊張は一気に上昇していた。


…ま…まだ…今なら………


　振り返れば、小さくアパートが見える。

　一度も誰とも擦れ違っていない今、引き返せば、こんな淫らな姿をしていたとは誰にも知られない。

　ドキドキと早まる鼓動を感じる恭子に、引き返そうとする理性が働き掛けた。

「…う、ううん……」

　それでも、頭を振って理性を追い出して前へと向き直した恭子。

　一歩踏み出せば昂る緊張に、理性が押し込まれていく。

　チラチラと辺りを見回しながら、恭子は平然を装いながら歩みを進めた。