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とあるオクサマのニチジョウ
第8章 ドキドキオクサマ
 
 恭子の歩みは遅く、僅かな風を感じればスカートの裾を押さえて立ち止まる。

 傍から見れば不自然極まりない行動ながらも、幸いに恭子と擦れ違う人影は無かった。


…やっぱ…最初はもっと長いスカートにしとけば良かったぁ……


 ヒラヒラとはためくフレアミニに、爽やかな風がワレメを撫で付ける感覚。


…意識すると…こんなにスースーするなんてぇ………


 後悔した所で、恭子の頭に引き返すという選択肢は無かった。

 人気が無いながらも、街中でイヤらしくアソコをスカートの中に晒している事にドキドキと鼓動を強めていく。

 穏やかな陽射しの筈が、やけに暑く感じる。

 ゆっくりと歩いても弾む胸にシャツが張り付く感覚。


…絶対…さっきより………


 うっすらと汗が滲み出しているのが分かる。

 一段とシャツをプクッと持ち上げている乳首を想像すると、その現実を確かめる不安に視線が下ろせない。

 相変わらず裾を気にしながら進めば、徐々に増えていく人影。

 外れから中心部へと近付けば当然の事。


…やっぱり…初心者に駅前は早いかもぉ………


 閑静な住宅街と違い、様々な音が引っ切り無しに飛び込んでくる。

「あ、あぅ………」

 平日の昼下がりとは言え、イヤでも人影が視界に映る。

 通勤時に比べたら疎らであるものの、露出デビューを果たした恭子にとっては鼓動を早めるには充分過ぎる。

 駅前に通じる路地の曲がり角で、思わぬ人気の多さに脚を止めるのだった。
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