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とあるオクサマのニチジョウ
第8章 ドキドキオクサマ
 
 曲がり角で立ち尽くしていれば、駅前の通りを歩く人からの視線を浴びる。

 先を急ぐ人々は、恭子を一瞥して通り過ぎていく。

 しかし、露出で神経が過敏になっている恭子は、その僅かな視線でさえも体中を舐め回されている錯覚を覚えた。

 立っているだけで、ノーブラの豊満な胸や剥き出しの太腿に突き刺さる視線。

 まるで、服の下までも見られているような感覚。

「や、やっぱりぃっ………」

 今一歩、駅前の通りに脚を踏み出せなかった恭子。

 クルッと踵を返すと、胸をユサユサと揺らしながら足早に路地を戻っていった。


…確かに…ドキドキするけどぉ………
…デビューしたばっかの私には早いのぉっ……


 自らに言い訳を繰り返す恭子。

 足早に歩いているだけに、フレアのミニスカートの裾が捲れ上がって、実に際疾い状況になっている事に気付いていない。

 それでも運が良いのか、危ない姿は誰の目にも晒される事無く、恭子は小さな公園へと辿り着いた。

「…ふぅ…」

 古びた遊具しかない公園に脚を踏み入れて、軽く嘆息する恭子だった。
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